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10話 ページ11

「てめぇら黙れよ」

痺れを切らしたのか片桐が怒鳴る。けれどそんな声も聞こえない程二人の言い争いはヒートアップしていた。

「黙れっつてんだろ!」

その声でようやく言い争いが止まった。すると、次の瞬間。三橋くんは片桐の顔を殴った。しかし片桐はビクともしない。

どうして?!三橋くんのパンチは綺麗に決まった筈なのに。あの人、相当強いのかな……。

「詫び入れろ。半殺しで勘弁してやる」

「……やべぇ、お巡りさんだ!」

三橋くんは急にそう言って指を指す。開久達の目線は三橋くんが指を差した方向に集まった。三橋くんはその隙にその場から逃げ出す。

「A、逃げるぞ!」

「え、うん!」

私は慌てて三橋くんの後に続く。

「おい、待てよ!」

今井さんも私の後ろを着いてきた。開久達は逃げ出した事に気づいたのか私達を追ってくる。しばらく逃げ回っていると騒ぎを聞きつけたのか本当に警官がやってきた。

流石に開久達も警察は不味いと思ったのか追うのを止め警官から逃げ出す。すると、今度は警官が私達を追い始めた。私達はなんとか逃げ出したが行き止まりに来てしまった。

「おい、泳げるか?」

三橋くんは近くに川がある事に気づき何かを閃いたのか今井さんに尋ねる。

「カッパの今井と呼ばれている」

「誰が呼んでんの」

「嘘だ。だが泳げる」

それを聞く今井さんのポケットに大量の石を詰め始めた。

「三橋くん、まさか…」

多分、あれ今井さんの事川に突き落とすよね。

「よし、行くぞ!」

「おう!」

二人は川の縁へと上る。そして三橋くんは今井さんを川に突き落とした。

「ああ、やっぱり…」

今井さんは必死に川を泳く。そしてようやく三橋くんの企みに気づいたのか三橋くんに向かって吠えるがもう遅い。そうこうしていると警官がやってきた。

「もう逃がさんぞ!」

「大変ですお巡りさん!友達が川に!泳げないんです!」

三橋くんは川の中の今井さんに指を指した。警官は慌てて今井さんを助ける為に川に飛び込んだ。

「お願いしマース。A、行くぞ」

三橋くんは振り返り私に手を差し伸べてくれた。けれど私は首を横に振る。

「私はいいや。今井さん可哀想だし。あと、怪我も心配だから」

「ああ、そういえば、お前今井の事好きだもんな」

「え」

ど、どうして三橋くんが知ってるの?!

「じゃーな!」

「えっ、ちょっと待って!」

呼び止めたが三橋くんは納得したのかそう言ってその場から去っていった。

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リリィ(プロフ) - 受験生さん» 感想ありがとうございます!嬉しいです(●´▽`●) (2019年1月4日 0時) (レス) id: ef18e6cd08 (このIDを非表示/違反報告)
受験生 - 墨汁wさすが三橋ですね。この小説大好きなので、更新頑張ってください。 (2019年1月3日 23時) (レス) id: f6013c941d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2018年12月12日 2時

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