青の少年: 後編 (ページ16)

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66:モーガンとホッチページ16

モーガンは外の空気に当たろうと病院から少し離れたところにいた。
何をするわけでもなく、ただ椅子に座っていると、隣に誰か腰掛けた。

「コーヒーいるか？」
「....ホッチ」
思ってもいなかった人物に、モーガンは少し驚いた。
そしてコーヒーを受け取り、礼を言った。

「....俺のせいだな」
「モーガン」
「いや、ホッチ。俺のせいだ。
JJもアシュレイも......俺が残ってれば...」
「モーガン、お前のせいじゃない。
いや、お前だけのせいじゃない。
お前の責任は俺の責任でもある」

ホッチはどこをみるでもなく、強いて言うなら空の方を見ているようだった。

「アシュレイが.....怖かった」
そうモーガンが呟くと「どうしてだ？」とホッチは尋ねた。
「俺に似てる。俺ももしかしたらああなったのかもしれない。
そう思ったら、怖かった」
ホッチはモーガンがそういうと、少し沈黙して「そうかな」と言った。

「お前と彼は似てない。
アシュレイは耐えられなかった。
過去に囚われて結局自分も同じ道を歩んでしまった。

でもお前は、強かった。
耐え抜いた。
だから今ここにいるんだ」

となりのホッチは笑顔だった。
妻を亡くしてから、ホッチは随分変わってしまった。
笑顔が減った。
昔はもう少し冗談も言える人だったのに、変わってしまった。
それはホッチが彼なりに妻の死を乗り越えるための手段だったのだから、責めることは誰もしない。

だがリーダーの笑顔を懐かしむのは皆同じだ。
ホッチの笑顔は昔と変わらなかった。

「お前とリリー・スコットの方がよく似てたよ」
「そうか？」
「ああ」
ホッチは昔を思い出しているようだった。

「お前が故郷で犯人だと疑われた時。
お前は俺たちにすら自分の過去を明かそうとしなかった。
誰にも「助けて」と言わなかった。

リリーもそうだ。
いまだに誰にも「助けて」とは言わない。
昨日でさえ、言わなかった」
「..........拒絶されるのが怖いんだろうな」

誰もが受け入れてくれるわけではない。
自分はチームのみんなが信じてくれたが、疑う人の方が多い。

「助けて」と言っても疑われ、嘘だと思われてしまえばもうモーガン達になす術はない。

そのくらい、この問題には被害者とそうでないものの間に壁があるのだ。

「リードがリリーをワシントンに連れていきたいと」
モーガンは予想どうりのリードの行動に少し笑みを浮かべた。

「それで？リーダーはどう思う？」
ホッチはモーガンの目を見て答えた。
「.......連れて帰ろう」