青の少年: 後編 (ページ11)

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61:夜明けページ11

長い真っ白な廊下が続いている。
所々壁が黄色くなっていることから、古い建物だということはすぐに分かる。
いくつか部屋があるが、決して多いとはいえず、人もあまりいない。
それに合わせたかのようにオレンジ色の淡い電球が、少し不気味な雰囲気を醸し出していた。

BAUチームがいたのは、そんな少し不気味な病院のある一室であった。
壁には昔、絵がかかっていたのだろう。枠の痕跡が見られる。

もう何時間が経ったのか。
夜中に降っていた雨は止み、少し遅い朝の日差しがカーテンの隙間から溢れていた。

先ほどBAUチームがいたのは、と書いたが、いたのはBAUチームだけではない。
ウィリアム・モンテーン・Jrと彼とJJとの息子、ヘンリー.....JJの最愛の家族、そしてガルシアも来ていた。
ヘンリーは、ウィルの膝に抱かれながら、コクリコクリと船を漕いでいる。

そんな息子とは正反対に、ウィルは真っ青な顔のまま、呆然と一点だけを見て動かない。

誰一人として喋らなかった。
沈黙が部屋を包んでいた。

部屋の張り詰めた空気を追い出したのは、ドアのノック音だった。
モーガンは誰よりも早く立ち上がり、扉を開けた。

背の高いブルネットの女医がチームをグルリと部屋を見回した後、言った。

「面会可能ですよ、どうぞこちらへ」

まず先に部屋に入ったのは勿論ウィルとヘンリーだ。
ヘンリーは先ほどまで眠そうだったのにJJの顔を見た瞬間「ママ！！」と駆け寄った。

それに続くように、ビルが妻の元へと駆けつける。

「ハイ.......ビル」
「ジェニファー........」
ビルはそれだけ呟いて、ベットに横たわるJJの真っ青な頬をなでキュッと硬く目を閉じた。
JJは頬に当てられた手に擦り寄るように顔を動かす。
ウィルの手が若干震えていた。

JJは夫と息子をたっぷりと眺めたあと、改めてチームの方に顔を向けた。

「ペネロープ」
「ハイ、ジェニファー...！」
起き上がろうとする彼女をロッシが止めた。

「大丈夫だから横になってた方がいい」
ペネロープはコクコクと頷く。
「そうよ、私はあなたの顔が見れただけで十分」
JJは申し訳なさそうな顔をした後、ありがとうと呟いた。

「わざわざ来てくれるなんて....」
「当たり前よ、だって私の.....わたしの、大事な、家族だから.....」

ごめん、と言い、ハンカチでガルシアが目に端を拭った。
そしてハグに代わりにー...JJの頬にそっとキスを落とした。