Lilアソート(バレンタイン短編) (ページ9)

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『実はさ…

失敗しちゃって

渡せるもんないねん…』

どうも、ケーキを焼いたが
時間を間違えていて焦げてしまったらしく

ショックで、作り直すこともせず
途方にくれていたらしい。

「どうせ、そんなことやと思った」

昔っから、何か失敗すると
絶対周りには言わず、一人でしばらくへこむ。

勝手に立ち直ってくるから
後から知らされるんやけど
バレンタインでもそうやとはなあ。

『ごめんなあ、楽しみにしてくれてたん？』

どこか嬉しそうにニヤつく彼女の頭の上に手を乗せ
思いっきり髪の毛をボサボサにする。

『もうっ、なにするんっ』

唇を尖らせながら髪の毛を整える
彼女の手を掴み、

「バレンタイン、もらいにきた」

と目をしっかりとみて伝える。

『やから失敗…』

「お菓子じゃなくてさ、

Aちょうだい」

『は！？へ！？

ふう？本気？？』

「こんなんで嘘つくわけないやろ」

『あげる！全力で！
いつでももらって！』

やっとやーっと喜んで俺に抱きついてくるから
思わずバランスを崩しそうになる。

物心ついた時から
ずっと、想ってくれてたんやってさ。

fin

おまけ

『はーせっかく両思いなんやから
一人暮らしやめよっかな』

「いつでも会いに行くから」

『…ふう、大好き！！』

「はいはい好きやで」