Lilアソート(バレンタイン短編) (ページ12)

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噂好きの友人が俺に聞こえるように
わざわざそんな話をしてくる。

「なんやねん」

「もう、お前には高嶺の花やって。
20と16やで？
やっぱああいう人は年上の安定した職業の人がええんやって」

諦めろよ、お前もてるんやから

なんて言われても
ぜんっぜん納得がいかない。

今日もただAさんを待つけど
心の中はグルグルと西畑先生との噂が支配する。

『あ、拓哉くん。
ごめん、今日は一緒に帰れへんねん』

俺を見つけて駆け寄ってきたかと思うと
初めて、一緒に帰ることを断られた。

「なんでっすか…」

『あーうーん、ちょっと用事が…』

まさか俺に理由を聞かれると思っていなかったのか
慌てて言葉を探すAさん。

その誤魔化し方が益々怪しさを増し、

「やっぱ年上の男がいいんですか？」

俺は割とストレートに聞いてみた。

『え？』

それでも彼女は気づいていないのか、わざとなのか
キョトンとした顔をしているので

「…もういいです」

俺は彼女に背を向け、一人で家へと帰った。