第二ボタン ▹F.O ページ1
後輩「風雅先輩、第二ボタン私に下さい!」
風雅「ごめん、それは無理やわ。ほんまごめん」
卒業式が終わった後の、校庭。
校舎をバックに写真を撮る人、友達と涙を流しながら別れを惜しむ人、最後の機会だからと、告白する人。
沢山の人が思い思いの時間を過ごす中、ひと通り友達と写真を撮り終えてしまった私は、後輩から第二ボタンをねだられている風雅をぼーっと見ていた。
風雅とは、3年間同じクラスだった。
席替えの度に近くの席になって、「またお前やん!」ってダルそうに言われたり、先生に怒られてた風雅をからかったり、お互いの机に変な落書きし合ったり。
今思えばそんな毎日がすごく楽しかったな、なんて、ちょっとしんみりしていた。
西村「ねぇねぇA!」
『西村くん?』
急に名前を呼ばれて、ハッとする。
西村「はよ言いや!風さん」
後ろを見ると、俯いた風雅が居た。
『あれ、風雅さっき後輩に話しかけられてなかった?』
風雅「だるかったから切り上げてきたわ、なんか第二ボタンがどうとか言われたしほんまだるい」
『え?第二ボタンあげてないん?』
風雅「……あぁ、なんかあんまり関わりない後輩にあげるのは……嫌やった、から」
西村「ちゃうやろ、?」
少し沈黙が流れたあと、風雅が照れくさそうに髪の毛をわしゃわしゃして、口を開いた。
風雅「あーもう、ほんまは言うつもりなかってんけど
Aに渡したくて、第二ボタン残しとってん」
『え、』
風雅「どういう事か分かるやろ、もう
好きやってん、ずっと。
だからこれ、貰ってくれへん?」
そう言って、風雅は私の右の掌に第二ボタンをそっと乗せた。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りにゃ | 作成日時:2022年2月28日 15時