69話 逃げた ページ26
ナマエ「……っ！！」
握られた手を勢いよく振り払う。
アユソの顔に当たったりはしなかったが…私が失礼な態度をとってしまった事に変わりはない。
驚いた顔のアユソを見て、罪悪感と少しの恐怖を覚える
ナマエ「…っあ…ごめんな、さい…触るの…苦手、で」
伝えたい事はあるのに上手く言葉が浮かばない、それでもなんとか伝えようと声を出す。
嫌われてしまっただろう。こんな事になるなら私が我慢すれば良かったんだ。嫌でも怖くても、私がアユソの手を振り払わなければ……
アユソ「…お嬢さん、そんなに怯えないでおくれ」
振り払った方の手を力一杯握り、黙ったままの私に、アユソは優しい声で言う。跪いたまま、顔を覗き込んだアユソは…悲しそうな表情だった。
アユソ「人に触るのが苦手なんだね？知らなかったとはいえ…すまない、悪い事をしたね」
ナマエ「…っ……違う、アユソは…」
アユソ「こんなに怖がってるお嬢さんに、今言う事じゃないかもしれないけど…これだけは聞いてほしい」
一息つくと、真っ直ぐ私の顔を見て言葉を紡ぐ
アユソ「君が手を振り払った事はこれっぽっちも気にしていないよ。それより僕は…悲しい顔をしている君の方が心配だ」
真剣な顔をして言った今の言葉に嘘は一つもないだろう。
だけど、アユソが安心させるために伝えた事実に、私は更に苦しめられる。
……許してほしくないのに、嫌われたくないなんて…そんな矛盾が通る訳ないだろう
ナマエ「……っごめんなさい！」
これ以上アユソの顔を見ていられず、食堂から飛び出してしまう
さっき動かなかった足が嘘みたいに廊下を駆けていく。幸い誰にも会わず自室へ戻ることができた
ナマエ「…ハァ……」
ドアにもたれかかって溜息をつく。
失礼な態度をとった上に逃げ出してしまった。アユソが私を許した時に、罪悪感で繋いでいた糸が切れたからだろう。
…なんでもかんでも逃げて悔やんで、いつまでも弱い奴だ
ナマエ(……変わろうと思って、
本当に『思った』だけだったのかな
外から足音が聞こえても、その日いつも通りの表情で自室から出られた時には、もう夕食の時間だった
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妖福(プロフ) - 紫陽花の園にあるモチさん» コメントありがとうございます！一気読み嬉しいです…！リアル時間の関係で、現在更新ペースかなり酷いことになってますね…。第五愛も書く気力もあるので、話の結末も決まってるので…失踪しないよう、ゆっくりですが頑張ります…！ (2021年9月10日 0時) (
レス) id: 0d154ab0ae (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花の園にあるモチ(プロフ) - やだ、面白すぎてすぐに読み終わっちゃった。続き待ってます！ (2021年9月7日 14時) (レス) id: 1e1719f572 (このIDを非表示/違反報告)
妖福(プロフ) - umisorakoさん» エマちゃんは仲がいい人に、傷つける言葉は言わないけど本音をズバッと言うキャラ…って感じで書いてますw (個人の勝手なイメージの塊) (2021年8月19日 17時) (レス) id: 0d154ab0ae (このIDを非表示/違反報告)
umisorako - 妖福さんのエマちゃんがちょっと毒舌で好きですｗ (2021年8月16日 16時) (レス) id: 0a8e78580d (このIDを非表示/違反報告)
妖福(プロフ) - シャーリーンさん» コメントありがとうございます！おバカ主人公、楽しんでもらえて嬉しいです…！主人公は「出来心でやった。頬が痛くなるとは思わなかった」などと供述しており…w (2021年7月30日 19時) (レス) id: 0d154ab0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：教六 | 作成日時：2021年7月13日 3時
