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エリザベートバートリー ページ2

私は幸せだった。永遠の美、永遠の乙女、永遠の純潔。美しい私に相応しい血と少女。浴びるための大量の血。美しくて、美しくて、目眩がして、私は。

ある日牢獄に入れられた。

私が話しかけても叫んでも誰も私を見ない。誰も私に応えない。誰も、誰も、誰も。

私を愛してるんでしょ、私が可愛くて仕方ないんでしょ、私は美しいんでしょ。何度叫んでも何を言っても私の声が木霊して聴こえる。

どうしてかわからなかった。何が?何もかもが。

だって今まで何も言われなかった。何が悪いかわからない、私に反逆する人間は全員処刑した。でもじいやもお父様もみんな言わなかった。私は何が悪いの。私どうしたらいいの。私、私、なんで。

もう暗いところは嫌。悲痛な叫びも牢獄にの壁で反射して戻ってくる。私の声と私の心が五臓六腑を引き裂いて行く。痛い。痛い。痛いのに、痛くて堪らないのに、誰も助けてくれない。今まで何も言わなかったじゃない。ねえどうして。

歪んだ顔にも心にも体にも誰もメスを入れてくれなかった。

お父様は私に「これが女の務めだ」と男をあてがった。私にはそれがただただ気持ち悪くて、美しく純潔でいなければ愛されない気がして。何度も何度も殺して、何度も何度も血を浴びた。そうしたらきっと、私は永遠に美しくなれるから。

私は処刑された。

人々のあの目。あの顔。あの声。頭に響くノイズ。

「うるさい、うるさい、うるさい!!!!」

頭が痛い。

サーヴァントとして召喚されて、私は極東の文化、アイドルを発見した。なんて素敵な文化なの!!私は舞い上がって喜んだ。アイドルこそ至高の拷問。

私は歌を歌った。プロデューサーに適任な人間を探した。

月の裏側、私の舞台、大好きなアイドル、大好きな拷問。全部全部、満ち足りた世界。

のはず、だったのに。

「救えないわ。私、悪いことがわからないの。わからないものは、救えないのよ」

心の中を覗かれた。心をえぐり出された。無垢の領域で気だるげに、頭の痛い私はあの人間と対峙した。

どうしようも無く私は悪い。でも何が悪いかわからない。

ボロボロと涙がこぼれる。私、私、お願い、もう閉じ込めないで、痛い、嫌、独りは嫌、誰も私を見てくれない。頭が痛い、雑音が響く、嫌。

そんな私の声は届かずに、壁が迫って私を閉じ込めた。

「頭、痛いわ」

私はここで永遠に美しいまま息絶えるのだ。



子ブタ、子リス、私の歌を聴きなさい。

聴いて。お願い。頭が、イタイの。

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作者名:金魚屋 | 作成日時:2018年1月28日 14時

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