先輩が会話をしてくれない【五条悟】

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もうダメだ、完全に呆れられてる、と全てを諦めて目を瞑った瞬間＿＿＿、ガラガラと開かれる教室の扉。


泣きそうになりながら教卓の方を振り返れば、そこには待ちに待っていた二年の担任である夜蛾先生のお姿。



助かった、生き延びた、死ぬかと思った。凍死もしなかったし魚の餌にもならなかった。ありがとう夜蛾先生大好きです。一生ついて行きます。


……やけに斜め後ろから視線を感じることに関しては気づかないふりをしておこう。








「えーもう既に二年から聞いていると思うが、今日は二年と一年でペアを組んで実践任務に当たってもらう。ペア決めは……と思ったが、既に決まってるようだな。今近くに居る者同士で組んでくれ。で次にそれぞれの任務場所だが＿＿＿」








え。ちょっと待ってください夜蛾先生。


それってつまり、え、それで言ったら私、五条先輩とペアを組むってことですか。



他の二人は先輩と肩を組んだり戦略を立てたりしてるのに、その中で唯一会話のない私たちにペアを組ませるんですか。



……やっぱり夜蛾先生好きくないです。一生恨みます。








「じゃあ私たちは先に行ってるね。悟、彼女を怖がらせちゃダメだよ」


「……おう」


「お互いに頑張ろうね！Aちゃん！」




「なら私たちも行くか。五条、あんまりAを困らせるなよ」


「……」


「Aさん、何かあったら私に電話をください。家入さんとすぐに向かうので」








夏油先輩と灰原くんペアに続き、作戦を立てていた家入先輩と七海くんも出発してしまって、教室には私と五条先輩、そして相変わらず顰めっ面の夜蛾先生のみが取り残された。



私たちもそろそろ行ったほうが良いかと思って後ろに立てかけていた呪具を取りに行くと、「悟、A、ちょっと来い」と私たちを呼ぶ夜蛾先生。


先に夜蛾先生の元に向かう五条先輩の背中を追って、私も布にくるまった呪具を背負って夜蛾先生の元へ駆け寄った。








「……正直、今回の任務は“お前たちは組まない”という想定で振り分けた。その為、悟にとっては簡単な任務かもしれないが……A、お前にとっては厳しい任務になるだろう」








夜蛾先生が話し始めたのは、私と五条先輩との間にある階級の差が大きすぎることについてだった。



確かに私は現在四級術師で、対して先輩は一級術師。


普段から請け負う任務の重要度も天と地ほどの差がある。



……下手すれば、私は死ぬだろう。








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