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補助監督は居るが、初めてAと隣り合わせで座った五条は自身の目線の行き場に大変困っていた。
だからAの視線が窓の外に向いてくれたことに、彼は内心で「よっしゃッッ」と全力のガッツポーズをかます。
目線の行き場を確保できたこともそうだが、一番はやはり合法的にAを見つめられることが大きい。
横顔を見る分にはいつの間にか耐性がついた。何せいつも話しかけられない時に見つめていたから。
今回もバレないようにAの横顔を愛おしそうに見つめる五条。
その様子をミラー越しに見ていた補助監督は五条の思いにもうっすら気づいたが、特に何を言うわけでもなかった。
「……あの、先輩、どうかされました?」
しかし油断していた五条はAの不意打ちを全く想定しておらず、カウンターをもろに喰らった。
急な見つめ合いはハブの毒よりも毒である。
固まっている最中に思い出したのは昨日の夏油の言葉。
Aの前で全く喋ろうとしない五条に対して言ったものだった。
「たまには悟の方からも話しかけるんだよ」
口調こそ優しいが、あの目は普通にガチだった。
確かにたまには自分から話しかけないといい加減相手にされなくなるかもしれない。
けれど今の五条にそんな度胸はなかった。気づけば視線は反対側の窓の方を向いてしまっていた。
今回もまたAの言葉を無視する形で終了した会話。
人が三人乗っているとは思えないほどに車内は静寂に包まれていた。
「(俺のAがか"わ"い"い"!!!好き!!!)」
まさかAもそっぽを向いた自分の先輩が心中でそんなことを考えてるとは露ほども思わず、何事もなかったかのように視線を戻す。
因みに荒ぶっている彼には申し訳ないが、Aはまだ誰のものでもない。
御年16歳。未だに彼氏が出来たことも無ければ、誰かを好きになったこともない純情な女の子である。
その後の任務でも相変わらず無言を貫いていたが、心の中はいつだって暴れ狂っていた。
特に一級相当の呪霊と対峙した時は初めて自分から話しかけられたということもあり、その日一番のテンションで一級呪霊をボコボコにした。
数日後にはその事に対して同期達に【−100点】の札を挙げられているとも知らず。
___因みにAを殴った呪霊は地獄の果てまで追い回して木っ端微塵にする予定だったが、それよりも術式を使えて喜ぶAが可愛かったので、密かになかったことにされたのだった。
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縁儺 - (夏油目線です)悟、流石に夢主に彼氏はないだろう 悟「うっさい!」はいはいそれは誠にすみませんでした五条悟様☆w 悟「チッ」 (2022年4月28日 18時) (レス) @page38 id: a1a94a6f52 (このIDを非表示/違反報告)
薄味(プロフ) - Hrmna_119さん» コメントありがとうございます!続きも頑張ります! (2022年2月13日 11時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
Hrmna_119(プロフ) - とっても楽しそうで面白いです!(?)続き待ってま〜す! (2022年2月11日 23時) (レス) @page28 id: 4e57ef443a (このIDを非表示/違反報告)
薄味(プロフ) - 石川祐希は神☆さん» コメントありがとうございます!キャラ同士のやりとりは私もノリノリで書かせていただいてます(笑)更新頑張ります! (2022年2月9日 23時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
石川祐希は神☆ - コメント失礼します。めっちゃ面白いです!!この話!キャラ同士のやりとりとか…笑 更新頑張ってください! (2022年2月9日 7時) (レス) @page27 id: e905b060a1 (このIDを非表示/違反報告)
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