Through the rain 6 (ページ7)

今日:34 hit、昨日:24 hit、合計:185,965 hit

52.2 ページ7

青side

後ろにとことこ、横にぴったり...

これ、なんだと思う?

後ろにとことことくっついてくるのは、北斗。
横にピッタリと座ってくるのも、北斗。

ぜぇーんぶ、北斗。

樹「んなぁ!...なに!?北斗。さっきから。」

北「え?何がだよ。普通にいるだけだよ」

きょとんと見つめてくる北斗。

すっぴんということもあるのか、隈が濃いような気がして心配になる。

樹「何がって...俺んとこ、ずっといるじゃん？」

北「.....ほんと?それ...」

樹「逆にお前、気づいてなかった!?ここんとこ、俺の横に必ずお前いるような気がしてるんだけど」

北「そうなの....ごめん、」

えっ...そんな落ち込む!?

随分分かりやすくなった北斗。見るからにショックを受けた様子で、なぜか俺が焦ってしまう。

樹「や、そんな落ち込むなってぇ..えっと、ほら!!俺、ずっといるしさ。そんな見張んなくても、大丈夫だよって言う意味でっ.ね!?」

北「....ずっと....うん。そうがいい...」

樹「....北斗?だいじょーぶ!?疲れてんの?」

らしくないことを言って、俯く黒髪。
しかも、両手をぎゅっと握って膝の上で丸めている。

そんなこと言うやつだったっけ...?

北「や...大丈夫、疲れてないよ?そんな風に見えてたら、ごめん」

樹「別に謝んなくても....ふぅ、北斗今週末飲み行かね?」

なんか放っておけない。
ガタイのいい北斗に言うことじゃないことかもだけど、弱々しく見えた。

話を聞くことしか出来ないけど。しかも、聞いたところで何もしてあげられないし、わざわざするつもりもないけどさ....

なんかこう、寄り添ってあげたかった。

むっと黙ったままの北斗。
断るな、これ笑

プライベート、俺も北斗もあんましメンバーと関わらないし。

樹「あ、別にいいよ。その、俺最近飯食ってないなぁとか...だか、ら」

北「ぃく....じゅり、俺飲み行く。」

べちゃくちゃと俺が話しすぎている中、ぽつりと返事。

聴き逃してしまいそうなくらい、小さいほっそい声だった。

樹「.....マジ?」

北「ぅん..もしかして、冗談だった?、ごめん、..本気にしちゃった...」

これは思ったよりもやばいのか?
ここまで弱っているというか、なんというか。

北斗が自分の弱みを見せるって、珍しいからびっくりする。

樹「やっ!まじまじ!!!...いこう、北斗。サシで」

北「うん、サシ...そうだね」

ぱっと顔が華やいで、犬歯がちらりと見える案外愛らしい笑顔を見せてくれた北斗に、ほっとした。