Through the rain 6 (ページ25)

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黒side

京本の過呼吸につられたのか、慎太郎まで過呼吸を起こした。

初めてでパニックみたいでさ、本当は息吐かなくちゃなんだけど...

北「しんたろ?っ慎太郎!」

慎太郎の身体が大きく傾いて、すんででジェシーが受け止めてくれた。

慎「ﾊｧ..くるしぃ..っひ.ぁ..」

ジェ「慎太郎、手貸してね?ここに息が当たったら慎太郎、ゆっくりはぁーってして?」

ジェシーが慎太郎の手を自分の口元に持っていく。

慎太郎目を瞑っていて、きっと「合わせて息してみ?」ができないからだと思う...

俺も慎太郎の後ろにまわって、広い背中を上下に摩ってあげる。

慎「ぅ、は..ﾊｧ...っはぁ..」

ジェ「そうそう...もっかいね、はぁー」

少しづつ息を吐くことができはじめて。

まだ収まってはいないけど、ほっと一息..

北「慎太郎、治り始めてるからね、大丈夫」

慎「はぁ....はぁっ、ぅ...じぇ、し」

ジェ「ん?...よしよし、頑張ったよ。慎太郎」

かくんっと慎太郎から力が抜けて、小さくジェシーを呼ぶ声。

呼ばれた本人は、''兄貴です''みたいな顔をして抱きしめている。

慎「ごめん、ね...きょも、どーなった..?」

んもうっ..なぁんで、人の心配するんだよ。

そこがいい所だけどさ、なんかさ。..ねぇ?

北「大丈夫だよ。まずは、自分のこと心配しろよ」

慎「だってぇ...めいわくなっちゃったし、心配させちゃった」

ジェシーの肩に顔を埋めたまま、小さくしゃくりあげる背中。

....昔の泣き虫だった慎ちゃんみたいだ。

北「ほらほらっ、泣くなって...な?」

乱暴にくしゃくしゃとハイトーンの髪の毛を崩す。
意外と柔らかくて、大型犬みたい。

慎太郎、嫌がんないんだ...

てっきり、やめてよって言うと思ったんだけど。

ジェシーは、まじで穏やかな顔をして慎太郎を抱きしめてる。

なんだ、その顔...

北「あ...きょうもと。」

いつの間にか遠くにいたらしい京本が、慎太郎のもとへやってきた。