Lifesaving - 感じる鼓動 - 7章

・ LIFE ３１０ ページ29

.






・名取side








将馬｢これから理事長と会食なんだ｣





じゃあなんで来たんだよ。って目の前にソファーに深く座る親父に皮肉を言いたくなった。





将馬｢しかし救命を離れるとなってからあんな事故に遭うとはなぁ。A先生もまだ目が覚めないほどなんだろう？大変だったな｣





でもそんな皮肉を言うよりも本音を言わなければ。ギュッと強く拳を握りしめ父親に顔を向ける。





名取｢父さん、俺は翔北で医者を続ける。救命医を続ける。

ここでなら俺、まともな医者になれる気がする。いや、まともな人間になれる気がするんだ。

──────── 俺はここで学びたい。｣





緋山先生がいなくなったらこの病院に未練はないと思ってた。




だけど、あの事故でA先生を連れて帰ってきた時の横峯と雪村を見ているとなんだか悔しくなった。




何、俺よりも先に成長してるんだよ。って今までに感じたことの無い闘争感や負けたくないという感情。




あのメンバーで、この同期で一緒に学びたいんだ。





将馬｢……お前に医者の自覚ができて嬉しいよ。

いや、それで充分。お前をここに行かせる意味があった。後は、病院に戻ってしっかり腕を磨け。｣





ああもう、！！！なんで伝わらねぇんだよと悔しくなって拳で太ももを強く殴った。





将馬｢時間だ、じゃあな。｣





チラリと俺を一瞥して出ていった親父の後を追いかけようか、……嫌でも、俺、そんなキャラじゃねぇし…









頭ではそう思ってるのに俺の体は動いていた。









.

・ LIFE ３１１→←・ LIFE ３０９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す