２話 ページ2
・
牛「すんません、無理矢理参加させちゃったみたいで」
『いやいや、誘ってくださるだけでありがたいですから』
そしてまた沈黙。
隣に座った牛沢さんは、ジョッキに入ったビールを飲み干した。
これならまだ一人でいた方が良かったかもな、なんて。
声をかけてくれただけマシだ。
『あの、お友達のとこ行かなくていいんですか…？』
牛「あー…キヨたち？アイツらはほっといていいッスからｗ」
牛沢さんがそう言って小さく笑うと、遠い席にいたキヨさんが向かってくる。
確か、このイベントの主催者の一人だった気がする。
が、やはり親しい会話をしたことはない。悲しいことに。
キ「うっしー！今俺の名前出したでしょ」
牛「地獄耳すぎんだろ」
キヨさんは牛沢さんに詰め寄って、チラリと私を見た。
お前誰だよ、というような冷やかな視線。
牛沢さんもそれに気付いたのか、自己紹介のきっかけを作ってくれた。
牛「スタッフのAさん」
『…あ、イベントお疲れ様でした！お酌の一つもせず、すいません』
何度かステージセットについてお話したんですけど、と付け加える。
すると、キヨさんは納得したように手を打った。
キ「あぁ、あの人か！けどなんで、うっしーといんの？」
キヨさんが私と牛沢さんの顔を交互に見る。
こうやって実況者としてイベントを開くぐらいだ。
狙ってくる女性は大勢いるはずで、警戒するのも当然だろう。
牛「いや、俺から隣に座っただけだから」
キ「へぇー…」
キヨさんは目を細めて私を見、そのまま元の席へ戻って行った。
隣からホッと息を吐く音が聞こえる。
牛「アイツ、初対面の人には皆あんな感じだから気にしないでください」
『全然大丈夫です！というか警戒するのが妥当ですよ…』
私が胸の前で手を振ると、牛沢さんはおもむろにスマホを取り出した。
牛「ＬＩＭＥ交換しましょ。てかタメ外していい？話しづらいから」
『…はい、私は構いませんけど』
やったね、と笑って、牛沢さんは連絡先を交換してくれた。
友達登録少ないのバレた。恥ずかしい。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ｌｉｅ麦マＦｉｎ(プロフ) - コメントありがとうございます！夢主含め、全員が悲しい思いを経験するように意識したので、気付いてくださって嬉しいです^^* (2019年7月27日 21時) (
レス) id: dc36edd03b (このIDを非表示/違反報告)
妄想少女Ｍ - 全話読ませて頂きました! 3人とも好きな人のために悲しい想いをして、実際に涙がポロリと出てきました^^; とても良いお話でした! ありがとうございました! (2019年7月27日 21時) (レス) id: 701d3cb7a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ｌｉｅ麦マＦｉｎ | 作成日時：2019年2月13日 16時
