Innocent sinners (ページ49)

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Mission.49 ページ49

よく晴れた日だった

安嶋さんの腕も、平塚さんの脚も、治ってきた頃

食材の買い出しと任務に協力した私へのちょっとしたご褒美を買いに

少し大きなショッピングモールに、湧さんと2人で出かけたんだ

湧｢本当にこんなんでいいの？｣

『はい、これがいいです』

お兄ちゃんの形見の時計を入れるためのケースを買って貰って、欲しかった食料品を買って

ショッピングモールから出ようとした時だった

湧｢…Aちゃんさ、お兄さん殺した奴らに顔見られてないの？｣

『見られてないと思います、対面する前にベランダから逃げてるので…』

湧｢、そっか｣

今更なんの質問だろうと思って聞こうとしたのに、私の体は湧さんによって壁に押し付けられた

所謂壁ドンの状態で、湧さんの片側の腕には食材が入ったビニール袋がぶらさがっていて

反対側は行き止まりで、閉じ込められた感じになる

『え、わくさ、』

湧｢静かにしてて｣

言われるままに声を殺して湧さんの顔を見ると、嫌に真剣な顔をしていて

全ての感覚神経を集中させて、湧さんが何を察知したのかを自分で感じ取る

｢…Gのメンバーだな｣

人気のない細い通路に、コツコツと響いた足音が

止まったかと思えばそう言葉を吐き出す

…仲間じゃないことは、何となく察した

湧｢えぇ～、Gってゴキブリの事っすか？｣

｢っ、てめぇ、！｣

湧｢走るよ｣

『え、ちょ、』

そこから先は文字通り一瞬だった

湧さんが煽るような言葉を投げかけたかと思えば、振り向きざまに相手の顔に回し蹴りを繰り出して

相手がうずくまっている間に、手を引かれて人の間を縫ってモール内を凄い勢いで駆け抜ける

相手の顔は分からなかったけど、横を通り過ぎる時

見えた、見覚えのあるネクタイが

ゴミ箱の裏に体を隠して息を殺していたあの日

私の事を殺そうとしてきた奴らが揃ってつけていた紫色のネクタイ

何かがここから、今この瞬間から

大きく変化していくのだろうと

湧さんに手を引かれたまま、リビングのドアを開けて、驚いたようにこちらを見る皆を見て思った