Innocent sinners (ページ47)

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Mission.47 ページ47

Waku side

喉が渇いたのと、目が覚めたのとで、ベッドから足を下ろした

ペタペタと自分の足がフローリングに触れることでなる音がやけに響いて聞こえて

そのせいか、リビングのドアを開ける前に小さな寝息と1人分にしてはデカい人影に気づいて足を止めた

湧｢…檜山、？｣

ドアを少し、中から気づかれないように開けてできた隙間から覗き込むと

時折肩を震わせながら小さな寝息を立てているAちゃんと

その体を片腕で支えている檜山の姿があって

なんにも悪いことなんかしていないけど、思わず息を殺す

檜｢…寝んのかよ、(笑)｣

Aちゃんの前髪を指で軽く避けて笑った檜山の表情は、普段見ることがないくらい柔らかくて

俺の本能が、少しだけ何かを察知した

檜｢、湧｣

湧｢…喉乾いてさ｣

檜｢…そっか｣

意を決してリビングに足を踏み入れると、檜山の表情は柔らかさが半減して、いつも通りになる

冷蔵庫からペットボトルを取り出して、檜山に近づくと檜山の服の裾を握ったままAちゃんが寝ていた

湧｢…え、｣

檜｢泣いてた。…寝ながら、1人で｣

体が固まる、驚いたと表現するべきかもしれない

…Aちゃんが泣き疲れて寝るなんて、考えてもなかったから、余計に

湧｢なんで、泣いてたの｣

檜｢わかんない｣

"思い当たる節がありすぎて、聞けなかった"

ふわっと笑って、Aちゃんにブランケットを掛け直した檜山の顔は

愛しいものを見る顔そのもので

湧｢檜山さ、Aちゃんのこと好きなの、？｣

檜｢え？…わかんね｣

湧｢っ…俺は好きだよ、すげぇ大事｣

同い年だけど、純粋無垢なこの子だから、妹ができたみたいな感覚しか初めはなかったのに

次第にその純粋無垢の中から顔を出す意志の強さに、"守りたい"なんて気持ちが芽生えて

恋どころか、愛さえろくに知りもしないくせに

情報を取るために寝る女達との違いに気づいて

大切な存在であることに気づいた

檜｢わかんねぇけど…ほっとけないのは、俺も同じ｣

嘘つけ馬鹿野郎

そんな"愛しい"って顔しといて、そんなん通用するかっての

"寝るわ、おやすみ"と俺告げた檜山は、Aちゃんの顔に掛かった髪を指で退けて

至っていつも通りのまま、階段を上がっていった