Innocent sinners (ページ45)

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Mission.45 ページ45

内｢あじ痛い？｣

安｢ふふ、大丈夫だよ(笑)｣

いつもの家に戻ってからしばらくして目を覚ました安嶋さんの傍にちょこんと座った内村さんは

しゅんと眉を下げて安嶋さんを見つめる

平｢湧～、それ取って｣

湧｢届くだろそれくらい(笑)｣

手をパタパタと伸ばしてスマホを指さす平塚さんに、湧さんは笑ってそれを差し出す

深田さんと豊田さんは2人の部屋への移動量を少なくするようにと

ドタバタと布団やら何やらを2人の部屋から降ろして来ていて

檜山さんと青木さんはとりあえずご飯にしよう、とキッチンに立っている

安｢Aちゃん、ありがとね｣

『え、や、私は何も、』

安｢俺ね、Aちゃんが運転する車が入ってくる時までは意識あってさ、
車のライト見た時、すっげぇ安心したの｣

"あー、援護に来てくれたんだ、って"

安嶋さんはその時を思い出すようにそう言った後

まさかAちゃんだとは思わなかったからあとから聞いてびっくりしたけど、と笑った

『…ありがとう、って、今初めて言われました』

安｢…っ、皆、言ってなかったの、｣

湧｢ごめん、｣

『っいいんです！私が勝手にやったことだったから、怒られて当然なんですから(笑)』

怒ったようにそこにいた皆を睨みつけた安嶋さんに負けた湧さんが小さくそう謝るから

慌てて言葉と笑顔を貼り付けた

深｢Aちゃん、ありがとう｣

『へ…？』

深｢皆を連れて帰ってきてくれて｣

座って安嶋さんの足の傷を診ていた私の傍に寄って

しゃがむように私の目線に自分の目線を合わせた深田さんは、そのままわしゃわしゃと私の頭を撫でた

少し雑なその撫で方は、少し、お兄ちゃんに似ていて

『…っ、ふふ、』

深｢えぇ！？なんで笑うん！？｣

『少し、雑だから(笑)』

湧｢おぉい！深田！優しくしろよ！｣

深｢してますって！｣

青｢なに、深田Aちゃんのこといじめたの？｣

深｢違います青木くん誤解！｣

雑な撫で方から芋ずる式に蘇ってきた思い出が愛しくて、思わず笑い声が漏れ出ただけだったのに

少し、あの頃の時間が戻らないことを改めて実感したせいで

少しだけ目の縁に滲んでしまった涙を

ただの笑い泣きに見えるように、

誰にも、援護に向かった時の恐怖心と、今の複雑な気持ちを悟られないように

指先でそっと拭い取った

檜｢…。｣