Innocent sinners (ページ24)

今日:91 hit、昨日:69 hit、合計:629,372 hit

Mission.24 ページ24

辿り着いたパーティー会場は小洒落た小さなバーなんかとは真反対の

ネオンがうるさいほどのクラブのような場所

『…』

深｢呆気って顔してる(笑)｣

青＜Aちゃん潜入だからね、気引きしめて＞

『っ、はい、すみません』

豊＜その都度こっちで指示するから、安心してね＞

2人の優しい声が鼓膜に直接響いてゆるゆると緊張が解けていくのが分かる

『…竜生、』

深｢ん、行こう｣

切り替えなければいけない、演じなければならない

今の私は"遊び人"

深｢うわぁ、すげぇ！これ貰っていいっすか？｣

｢どうぞ｣

中に足を踏み入れれば、ズラリと並ぶお酒

その中で見つけたカクテルを手に取って笑う

…待って、深田さんも私も任務中、ですけど、

『竜生、それ、』

深｢ん？…あー、こんなんジュースだから(笑)｣

そう言って深田さんは手に持ったグラスに口をつけて

"飲んだフリ"をした

深｢んま、Aも貰いなよ｣

『じゃあ私も、頂こうかな』

きっとこのグラスを持って、彼の腕に自分の腕を絡めておくだけで見た目は成り立つ

さくらんぼが沈められたオシャレなカクテルを手に取って深田さんの腕に自分のを絡める

湧＜深田、真っ直ぐ前方、今回の主催者らしき人間＞

深｢了解っす｣

安＜俺近くにいるから引き出して＞

インカムで聞こえてくるバーテン役の2人の声

全く姿は見えないけど、深田さんが真っ直ぐ前方を見据えて足を踏み出すのを感じて

急いで自分の右足を前に出した

深｢はじめまして、ご挨拶いいっすか？｣

｢見ない顔だな、誰の紹介だ？｣

深｢髙橋さんなんすけど…彼女と飲み比べしてたら見失っちゃいました(笑)｣

｢髙橋か｣

そんな人いるのだろうか、と不安になったけど

内村さんが"なんだ、そこも経由してんのね"と言ったから

きっと先にここへ潜入して事を進めやすくした仲間がいるんだろうと察した

｢君のツレはこの子か？｣

深｢そうっす、綺麗でしょう？｣

｢美人だな｣

『お上手ですね』

｢…髙橋の紹介なら中身(ホンシツ)も知った上でここに来てるんだろう？｣

深｢美味しいモノがあるって聞いてますよ｣

深田さんがそう返せば、ニタリと嫌な笑みを浮かべる相手の男

…黒(クロ)だ