Innocent sinners (ページ20)

今日:102 hit、昨日:69 hit、合計:629,383 hit

Mission.20 ページ20

…使える？私が？

皆がこなす仕事はおろか、パーティーにだって行ったことすらないのに

心臓の音が耳に響き始めて、あぁ、私の心臓びっくりしてる、なんて呑気に思う

『…やります』

安｢Aちゃ、｣

『兄が払ったお金で保護されてるだけかもしれません、でも、何もしないでずっといるのは、無理です』

ずっと思っていた

兄がきっと彼らに払ったであろうお金で保護されているだけなはずなのに

皆さんが見せてくれる笑顔は優しくて、温かくて

少し冷たいはずの不器用な優しさも痛いほどで

ただ保護されてるだけではダメだと、ずっと思ってた

深｢Aちゃん俺らに飯作ってくれてるじゃないですか｣

平｢無理しなくていい、嫌って言っていいよ｣

眉を下げて私の肩を優しく掴む平塚さんに

ゆっくりと首を横に振って見せた

『…少しくらい、役に立たせてください』

皇｢ごめん皆、俺らも鬼じゃないからさ、心苦しいんだよ｣

湧｢うん、それは、分かってる｣

青｢Aちゃんの身の安全は保証出来る案件なんだよね？｣

渉｢できる、今回は裏じゃなくて警察直々の依頼だから、殺しにもならない｣

檜｢……条件、一瞬もバディと離れんな｣

『っ、はい』

少し膝を曲げて、私の目線に合わせて

小さいけど芯のある声で檜山さんはそう言った

織｢…ドレスはこっちで見繕って郵送するから｣

黒｢Aちゃん、皆のことよろしくね｣

"俺も皆と同じ立場なら貴方を行かせたくないと思う"

そう言って耳の下がった子犬みたいな顔をして

大きな手で私の手を包んでおでこにそれを持っていく

『…なんですか？それ』

黒｢無事に任務遂行できますようにって、おまじない｣

じゃあね、と笑って黒田さんは部屋を出た

皇輝さんは檜山さん達に向かって、また追って連絡すると言って

複雑な表情を見せて私に笑いかけた

…貴方も、彼らと同じ優しさを見せるんですね

なんて、心から心に言葉に出さずに伝わればいいのに