【第五人格】そんなつもりは無かったなんてⅡ (ページ10)

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52話　ツキページ10

范無咎視点

青いコマを動かす指先を目で追う。Aは視線を気にせず、サイコロの出目に全力で喜んでいた。

ナマエ「やｯｯｯたぜ最前線に踊り出ましたよA選手！ここで6を出されなければ一位でゴール！！」

ロビ「次は僕の番〜！……6が出たからAお姉ちゃんは2位以下になっちゃったね」

ナマエ「Oh……()」

ロビー、庭師、機械技師……にまでは抜かれず、比較的前を行っていたはずのAは、結局三位まで落ちていた。

Aを見ていて気付いた事が二つ。
一つ目は、案外ゲームが苦手だということ。……苦手と言うよりは、絶望的にツイてないと言うべきか。
ババ抜きをすれば毎回ジョーカーを引き、サイコロを振れば2や3が出るばかり。今も3回連続で1を出したりと……そういう星の下に生まれたんだろう。

ナマエ「3位……！歴代最高順位！ヤッタネ！！」

トレイ「最後に大転落しt」

ナマエ「試合最後の5分間の記憶ないから、何言ってるのか分からないや()」

エマ「だとしたら今すぐに、Aをエミリー先生の所まで引きずってくの」

そんな会話をしながら、しれっとリバーシを取り出す。
Aは逆に、運が要らないゲームはそこそこ上手いのだ。チェスやリバーシではよく勝っているし、神経衰弱では負けた所を見たことがない。

ナマエ「角取ったりィ！」

トレイ「あ゛〜！A大人げないんだけど！？8割黒！！」

ナマエ「大人じゃないも〜ん！最年少サバイバーだも〜〜ん！！(今は)」

運が絡まなければまともに戦える。
それと二つ目は……

ナマエ「ロビー君、そのコップ肘が当たったら落ちちゃうよ！」

ロビ「あ、ほんとだ！ありがとうAお姉ちゃん」

どれだけ騒いでいても、周囲へ気を回し続けること。
前々から気付いていたが、ここまで見ているとは思わなかった。物の位置、遊び相手の表情、誰が会話に混ざっているか……全て把握し続けている。

俺がこうして眺めていることも、恐らく気付か……

ナマエ「無咎さん。さっきから見てるけど、リバーシやりたい？」

……流石に苦笑いしてしまった。
チラチラ気にしていたくせに、すっとぼけて俺に声をかけてくる。そういう奴だったな。

范無咎「チェスでもいいか」

ナマエ「もっちろん、今持ってくるよ！」