55話 ヘルプ ページ13
ナマエ「ぐおぉ……だ、大丈夫ヴィオ嬢……？」
ヴィオ「それは私の台詞だと思うけど……！？」
廊下でヴィオ嬢にぶつかりそうになり、ジャンプして避けてそのまま前転……からの顔から床にダイブ。
は、鼻が痛い！絶対に曲がってるってこれ大丈夫！！？
ナマエ「まぁ鼻曲がっても治るから大丈夫……ヴィオ嬢は怪我してない？」
ヴィオ「Aが避けてくれたおかげで平気よ、ありがとう……だけど、危ない避け方なんてもうしないで！」
ナマエ「あはは……うん、気をつけるよ。ありがとうヴィオ嬢」
ヘラヘラと笑顔を見せると、ヴィオ嬢はほっとした表情を見せてくれた。
やっぱり焦っていても、廊下は走るものじゃないんだなぁ。学校なんかで「走るな」って厳しく言われるのにも、それなりの理由が……
ヴィオ「ッA！？やっぱり痛いの……！！？」
ナマエ「え？あ、これは痛いんじゃなくて……」
こんな会話をして気が抜けたのか、音もなく涙が溢れ止まらなくなった。
それを見てさっきのことを思い出し、また私の頭は冷静さを欠き始める。また同じようにぐるぐる悩んでいたらキリがない。意を決して目の前のヴィオ嬢に助けを求めた。
ナマエ「……ヴィオ嬢、どうしよ」
ヴィオ「……A、なにかあったの……？」
自室にヴィオ嬢を招き、ホールで起きたことを相談する。
ヴィオ嬢は真剣に聞いてくれたが、流石に驚きは隠せなかったらしい。途中から口が半開きになっていて可愛い()
ヴィオ「ええっ！無咎さんが……！？」
ナマエ「でしょ……私も未だに、あのイケメンが自分を好きとか信じられない」
だってあの白黒無常の、范無咎さんが、ですよ？？？
ため息を吐いてポッ○ーを一本口に運ぶ。するとヴィオ嬢は今の言葉が気になったのか、口元に手を当て私の方をじっと見つめた。
ヴィオ「……Aって、荘園の私達の事が好きなのよね？えっと……恋人や友達とは違う"推し"って意味で」
ナマエ「ん？うん、そうだね」
推しの意味はよく聞かれることがあり、ヴィオ嬢にも説明したはずだ。確か……「恋心や友情や家族愛とも違う。絵本で好きな登場人物がいたら、それに近いと思う」って。
ヴィオ「少しだけ心配になったの、無咎さんの事"推しとして"見たまま考えてるんじゃないかって」
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作者名：教六 | 作成日時：2023年4月5日 14時
