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《ねぇ、お宅の彼氏さんさぁ…
まだ、俺に根に持ってるんだけど》
そう言われても、僕がどうにかできる訳でもない
A「…で、どうしたの?」
《え、スルー!?
…まぁ、いいや》
いいなら、言ってんな((
《ご飯って炊いた方が良いのかなって思ってさ》
A「いや、皆飲むなら要らんっしょ
それに、」
_________"そんな事で電話してきた訳じゃないでしょ"
そう言えば、"バレたか…"なんて
A「それなら、由佳自身が電話してきてもおかしくないよね
なのに、怜音って可笑しいもん」
《うん、そうだよね…》
いつまで経っても本題に入らず、あーだこーだ言う怜音に思わず
"切って良い"と問えば、"話す"と慌て始める
《その、ね…
聞きたかったんだけど、
何で付き合ってることを公表しなかったのかなぁって》
A「忘れたけど…」
《忘れたんかい………》
A「多分、大事(オオゴト)になりそうだったからかな
社長とかには既に伝えてはあるんだけど、
公表の件に関しては僕らで決めていいことになったけど、
僕が紀章さんにお願いして公表しないことにした
……きっと、悪評が怖かったのかもね」
いつの間にか僕を後ろから抱きしめていた紀章さんに、
"そんな事、気にしなければいいのに"なんて囁かれる
…でも、怖いものは怖い
だけど、
A「今回の件で、"とられたくない"って思った
自分に自信がないから、胸を張って言うことはできないけど、
だからと言って、他の女の人が紀章さんと楽しくしてるとこの方がよっぽどイヤ
…………かも」
「《"かも"とは》」
怜音は黙っちゃって、紀章さんは腹を抱えて笑っていた
《何で"かも"なの?》
A「それは、由佳が知ってる
僕の口では、今は言えない」
そう言えば、"ちょっと待ってね"と言われた
紀章さんはと言うと、僕の頭を撫でて"待ってる"と言った
…きっと、さっきの詰まった言葉もそうなのだろう
理解しようとしてくれてるのに、
僕がいつも逃げてばかりなのだ
"棄てられる"ということがとても怖いことを知ってるから
数十秒して"聞いた"と言って電話越しに戻ってくる怜音
《ちゃんと言ったら?
そのことを言わないと、またすれ違いが起きるんじゃない?
別に夜ご飯は急いだわけじゃないし、
遅くても大丈夫だから_________》
A「簡単に話せるなら、話している」
驚くほど、冷たかった気がした
なのに、怜音は僕を責めなかった
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作者名:奏人(タクト) | 作者ホームページ:https://twitter.com/Takuto_Se
作成日時:2019年9月17日 22時