I、愛、哀2【谷山紀章】 (ページ46)

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▽*Yuka Side ページ46

「うぅ、次で最後かァ～…」

ハードスケジュールを熟して、
最後の現場へと辿り着く
…まあ、前の現場よりはるかに楽な仕事でインタビューを受けるだけというね
写真とかは、もう前々に撮ってあるからね
時間まで残り10分前という社会人としての行動もできてる
……今日の私は偉い
後で、Aに褒めてもらおう

部屋に入っていくと、
見たことのあるシルエットに頭を傾げる
ぼやけて見えない中、
"何、仕事？"なんて問いかけてきた声にその人物が誰なのかを
特定することができた

「どうもです、紀章さん
ってことは、飯塚さんですね
お隣」

飯塚「初めまして、だよね？」

「はい、初めましてです！
伊月由佳と申します」

飯塚「俺は、飯塚昌明
よろしくね
…よくAちゃんから話は聞いてたよ
とっても天然で正直者で、騙されやすいって」

……あいつ、なんつーことを言ってやがる((

「…というか、その言った本人は？」

飯塚「ここには来てないよ？」

「誰も見てないんですか？」

紀章「…まぁ」

「アンタには聞いていない！
まったく、うちの子を虐めて！！！」

飯塚「まったくだよね
Aちゃんとしばらく会ってないんだよ、俺
紀章から事情は何となくは聞いたけどさ～」

「私的には、どっちもどっちだと思うんですけどね～
注意力の足りない紀章さんと思い込みの激しいAですから」

…それより、楽屋っつーか、
控え室一緒なのか
確かに、大きな雑誌を何冊も作るこの会社に来る人は多いから
相部屋になる確率は高いけど

まぁ、荷物置くだけでインタビューとかは別室になることが多いんだけどさ

飯塚「いや、"思い込み激しいとしても"の話でしょ」

「いやいや、うちの子の思い込みの激しさは
天下一品ですから＿＿＿＿＿＿＿＿＿」

A「あー、そうっすね～」

背後で聞こえた声に思わず、びっくりして振り返る
……紀章さんが話に割って入ってこなかったのは、
既にAが入ってきたからか

A「俺だって、好きでこんな性格になったんじゃない」

明らかに不機嫌且つ、虫の居所が悪いA
………そう言えば、予定ズレてるんだっけ…？
そりゃ、機嫌も悪くなってくるわ

手元に持っていた紙の束を机にものすごい音で置く
その反動で何枚か落ちた紙を拾うと、それは五線譜だった