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第53話*Kishow Side ページ4

人が大騒ぎしている
携帯を眺めては、足を進めていく


何処からか聞こえてくる荒っぽいギターの音に、
"誰か、路上ライブでもやってんのか"感覚に俺も向かえば、



紀章「A、ちゃん…」



彼女が歌っていた
人は多く近くまでは行けないが、
チラッと見えたが、確実に彼女だ


荒い弾き方だったものの、
彼女の歌っている歌詞は何処かDeep enDに引けをとらないくらいの
心の深くに潜り込んでくる

「すみません、ごめんなさいねぇ!」


そう言っては、人混みをかきわけては一番前へと行こうとする男性
暫くすると、
その男性は、着いたのか"ごめんなさい、通して"と言って
こっちへと向かってくる


抜けるのは十分に早かった
そして、一瞬だった


その男性が連れていたのは、Aちゃんだ


紀章「Aちゃんッ…!」


「人違いです!」


そう言って、車に楽器ごとAちゃんを乗せた男性は、
すぐさま出発した

一気に人は霧のように消えていった
携帯持って歩く人はほとんどいなくなったが、
俺はその場に残された


俺は、ポケットに入れといたガラケーを取り出しては、
電話をかける


紀章「__________________…」


電話の相手は、"そうですか"と言って無言になって数秒してから、
"大丈夫です、きっと"と言った


少し気がかりではあるものの、
明日、現場一緒だし、
そのときに聞こう

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作者名:奏人(タクト) | 作者ホームページ:https://twitter.com/Takuto_Se  
作成日時:2019年11月20日 22時

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