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第72話*Mizuki Side ページ23

観客席の方に紀章さんが戻った
それに気付けば、顔の位置をずらさず、
袖を見れば準備が完了しているAの姿


…そろそろ終わりですかね


ラストスパートに持っていけば、
翔利もそれに乗じて盛り上げにくる
同時で、派手に音を鳴らし終えれば、
拍手大喝采だ

………まぁ、俺ら二人にしちゃ、
出来た方でしょ


ポツポツと歩いているAの目には布が巻かれていない


翔利「え、どういうこと
気の迷い???」


心配して、近づいて話しにくる翔利に
俺も同じことを思った

自分がマイナーな地位にいること
それは、SNSでもわかりきっていることで、
それを避ける為に目元を隠し、
″Fickle″の″トワ″と公表して今までやってきた
…まぁ、同業者とかは自然に知られるのがオチだから
必然的に知っている人は多い



案の定、観客席には″常盤A″を罵倒する輩が
居たと思いきや、徐々に増え始める
そんなことも関係なく、コードやエフェクターを繋げては
思い切り鳴らした

それは、黙らせるには十分すぎるもので、
たった10秒程度の短い時間で
観客席を鎮圧させた


だけど、しばらくすれば、

「″トワ″を出せ」


「″常盤A″を出すな」


そう言い始めた観客席の男性に便乗して、
″皆で言えばそれが正当だと思われる″
″トワを出してもらえる″
とでも言いたいのか次々と声を上げた
″トワ″は″常盤A″なのに…

観客席が煩くなる一方、
俺の怒りのゲージも上がる
それは、翔利も同じだったらしい


「「目の前に居るだろうが、黙っとけ」」


軽くAの目の前のマイクが音を拾い、
客席からは動揺の色が見えた


A「騙そうと思った訳じゃない」


ゆっくりの口調に、さらに引き立つ罵声の数々
…まだ、卵とか投げつける輩がいないだけマシと思うしかない


だけど、どうする…?
このまま続ければ、酷くなる一方だ


A「崇拝している"トワ"が"常盤A"だったら、
ファンを辞めるの?
そういう気持ちが芽生えるの?
"常盤A"が嫌いだから、
"Fickle"を嫌うの?」

ピックを観客席に向けながら放つAの言葉は、
探る一方だった
観客席は一気に静寂になり、
うんともすんとも言わない観客席に向かって続けた


A「そんなの、ファンでも何でもない」


その言葉に、"偉そうなことを言ってんな"と声が上がった
その言葉でまた観客席は騒音と化す
…全員で一つの意見を言えば、
それが正しくなる
そういう考えの大馬鹿者が多すぎでしょ

第73話*Mizuki Side→←第71話*Kishow Side



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作者名:奏人(タクト) | 作者ホームページ:https://twitter.com/Takuto_Se  
作成日時:2019年11月20日 22時

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