第61話*Kishow Side ページ12
A「…何か、隠してる」
Aちゃんの言う通り、
俺は隠した
…けど、
紀章「気のせいなんじゃない？」
そう言えば、
″目が悪いから、そうかもしれませんね″
と引き下がった
A「別に、翔太とは何も無いです
それだけは勘違いしないで」
その言葉にほっとした自分がいた
…まぁ、飯塚さんのおかげでそんなに驚きはしなかったけど
「はい、どうぞ」
A「…店長、これ
頼んでないよ？」
「顔色良くないし、もっと大きくなりな
…それに、ご飯ちゃんと食べてないんでしょ？」
紀章「…え」
A「…っもうさ、それミズキの前では言わないでね
後々面倒になるから
つーか、三十路過ぎたのにさ、
"大きくなりな"って何？
太れ、と？」
「何もそこまで言ってないだろ？」
掴み処のない店長だ、というのが正直なところで、
俺の前にもAちゃんと同じものが置かれた
「サービスだ、たんとお食べ」
A「………いただきます」
ホットサンドは、出来立てらしく、
Aちゃんが一口被り付いた瞬間に、
それと距離をとった
「相変わらずの猫舌だね、ゆっくり食べな」
A「時間がないの
お仕事、しなきゃ」
………確かに、時間は迫ってきている
俺も齧り付けば、舌を軽く火傷した
でも、食えない程ではない
…とうとう、熱さにより睨めっこを始めたAちゃんの
子どもな一面(何回か見てる気がするけど)が可愛く見えた
A「早く食べて、お仕事行ったらどうです？」
ジト目でこっちを見てくるAちゃんの瞳を覗き込めば、
一気に視線を外された
A「見つめても、何も出てきませんよ」
紀章「ん？
出てこなくても、一緒に仕事に行くからいいよ」
A「………いやねぇ、谷山さん＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」
紀章「俺自身がそうしたいだけ
別に他の人に何を言われようが今更気にしねぇし」
A「物好きですね」
紀章「俺の他にも、Aちゃんと話したい奴
居るぞ？」
A「……………え？」
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作者名：奏人(ﾀｸﾄ) | 作者ホームページ：https://twitter.com/Takuto_Se
作成日時：2019年11月20日 22時
