幼馴染みは寂しくなった(弟)01 ページ9
※『幼馴染みは気付かない』の続編
(前回の話はこちらの目次から)
ｰｰｰ
「あれって弟者くんじゃない？」
学年が上がり、慣れない環境に少しずつ慣れてくる5月。
私はいつものように休み時間に数人の友達と廊下で話していると、友達の1人が窓の外を指さした。
「隣にいる子、赤リボンだから新入生だよ」
「あれって告白じゃない？」
友達が指さした真下の方を見ると、部室用のプレハブが建ち並んでいる裏に弟者くんと見慣れない女子がいた。
上から見た限りだと、女子の方が弟者くんに両手で何か手紙のような物を手渡そうとしている様子が見えて、友達たちがザワつく。
「…」
私は彼らの様子を静かに観察していると、弟者くんは女子に対して頭を下げ、女子は弟者くんに軽く頭を下げてその場を去ったのだった。
「あれは振ったね」
「てか、5月なのに新入生に告白されるとか凄い人気だね」
「…ねぇ、A」
「なに？」
友達の1人が私に声をかける。
「Aと弟者くんって幼馴染みだよね？」
「うん」
「好きになったりとかしないの？」
「えっ！ いやいやいや、弟者くんは──」
そう言いかけてから、私は"あの日の言葉"が頭をよぎって一瞬言葉が詰まる。
「──ただの親友みたいなもの…かな」
その日の夜、私はお風呂の浴槽に浸かりながら考えにふけっていた。
"好きになったりしないの？"
"──ただの親友みたいなもの…かな"
"…Aにとって、俺はただの親友なのかな"
今日友達に言われて去年の秋頃の弟者くんの言葉を思い出す。
あの日の言葉をきっかけに、私は時々弟者くんとの関係について悩むようになった。
「ずっと幼馴染みで親友だと思ってたんだけど…そうじゃなきゃ一体何なの…？」
自問自答するが、結局私にはわからない。
「あぁもう…やめやめ！ 別のこと考えよ…」
そう言ってすぐに思い出したのは弟者くんが告白されてた時のこと。
ｰｰｰ
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作者名：くろいつき | 作成日時：2020年4月15日 0時
