【夢小説】2BRO. 短･中編集 03 (ページ5)

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思い出になった僕の一瞬(乙)02 ページ5

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「先生、これ。展示はしなかったけど現像はしたので、よかったらどうぞ」

「え、いいの？ありがとう！！」

結局彼女はあの日撮った写真はプライバシーを考慮して展示しなかったらしく、最後にあの日撮った写真を僕にくれた。

(！)

満開の桜をバックに優しく微笑みながら桜を眺める僕自身。
桜と僕以外をなるべく入れないようにしたのか、目線の高さも調整されていて、まるで桜の世界に僕が迷い込んだような世界観が写真の中に存在していた。

そして、写っている僕自身は自然体で撮られていた。
きっとカメラを意識していたらこんな柔らかな表情はできなかっただろう。

「Aさんの作品は優しさで溢れてるね」

「え、そ…そうですかね」

「うん、僕はAさんの写真、好きだな」

彼女の写真を見て、僕は心から感動した。
そして、もっと彼女の作品を見たい、そう思った。

(懐かしいなぁ…)

僕は自室のデスクに座りながらアルバムを開き、当時Aさんからもらった写真を眺めて思い出にふける。

「おついちさん？おーつーいーちーさん！もう出掛ける準備は…って、もう…またその写真見てるんですか？」

遠くから奥さんの声が聞こえてきたかと思えば、彼女は部屋の入り口までやって来た。

「ごめんごめん。この時期になるとつい思い出しちゃうんだよね」

「はいはい、わかりましたから。それより早く行かないと弟者さんたちが向こうで待ちくたびれちゃいますよ」

「あいつらなら大丈夫だって。花見だからどうせ先に飲んで出来上がってるだろ」

僕は先程まで見ていたアルバムをしまい、席を立ち上がってから上着を羽織って部屋を出ると、既に奥さんは玄関で靴を履いて僕が来るのを待っていた。

「忘れ物はないよね？」

「はい、多分大丈夫です」

「じゃあ行くか、"A"」

「はい、おついちさん」

END.

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