想い≠距離(弟)04 ページ36
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翌朝、俺は彼女を車で近くの駅まで送って行くことにした。
昨夜に互いの気持ちを伝えた俺たちは所謂恋人関係になったが、同期の時の距離感が抜けず、あの後特に何かあるわけでもなく眠ることにした。
そして朝起きた後も距離感は変わらず、お別れの時が刻一刻と近づいていくだけだった。
車を駅の近くに停めると、彼女は携帯で何かを調べ始めた。
｢新幹線までの時間はまだあるから……もう少しだけここにいても大丈夫？｣
｢あっ、ああもちろん｣
｢ふふっ、ありがと｣
そう言って彼女ははにかんだ。
｢弟者くん｣
｢ん？｣
｢その…昨日から色々とありがとね。 急にこんな形で両想いになれるなんて思ってもなかったから、嬉しい気持ちと寂しい気持ちでいっぱいで……向こうに行ったら時々連絡してもいいかな？ ｣
ついさっきまではにかんでいた彼女は寂しそうな目でこちらを見つめる。
俺はそんな彼女に対してうん、と頷いて見せると、彼女は微笑んだ。
時間になり、Aさんは車を降りて後部座席に置いてあったキャリーケースを車の外に出して駅の方へと歩き出す。
(お別れ、か…)
遠くなる彼女の後ろ姿を見送りながらそんなことを思う。
すると彼女は駅の改札口に入る手前でこちらに振り返って手を振る。
『またね』
彼女は声には出さなかったが、口の動きからして恐らくそう言ったのだろう。
改札を通り抜けてとうとう彼女の姿は見えなくなった。
｢…また会おうな｣
彼女には届かない独り言を呟き、俺は車のエンジンをかけて家に帰るためにアクセルを踏んだのであった。
END.
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続く (更新停止中)
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作者名：くろいつき | 作成日時：2020年4月15日 0時
