【夢小説】2BRO. 短･中編集 03 (ページ31)

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ハロウィンにはイタズラを(兄)03 ページ31

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「Trick or Treat！」

「！？その格好…」

扉を開けた兄者さんは目を大きく見開いてびっくりする。

「これ？ハロウィンだから仮装してみたんだ」

と言っても凝った仮装ではなく、悪魔の角のカチューシャに普段使っている黒のワンピースを着て、なんちゃって悪魔になっただけなんだけどね。

「あー…そっか。今日はハロウィンだったな」

「そうだよ。だからお菓子頂戴？」

そう言って私は兄者さんの前に両手を出してお菓子をねだる。

「…悪ぃ。お菓子用意してないわ」

すっかり忘れてた、と言って兄者さんは後頭部を掻きながらバツが悪そうな顔をする。

「あらら、なら仕方ないね」

私は兄者さんの前に差し出していた両手を下ろす。
事前に今日がハロウィンだと伝えていたら兄者さんはお菓子を用意していたかもしれないが、特に伝えていなかったこともあり、彼が忘れてしまうことは予想範囲内だった。

「…あれ、イタズラしないの？」

「えっ？」

しかし彼のこの言葉は予想範囲外だった。

「『えっ？』じゃなくて、お菓子あげないとイタズラするんだろ？ほら」

兄者さんは小さく両手を広げて私のイタズラを甘んじて受ける体勢をとった。

(か、考えてないよ！？)

兄者さんが積極的にイタズラを受けようとするとは思ってもいなくて私は少しパニックを起こす。

「えっ…えーっと…んー………！」

頭の中で色々と考えた結果あることを思いつき、私はえいっと言う掛け声と同時に兄者さんに抱きついてみせた。

「…A？これは何のイタズラ？」

「えっと…最近忙しくてスキンシップが取れてないから…ひっつくイタズラ、かな？」

「ふはっ、なんだそれ」

頭上から彼の笑い声がしたと思ったら、彼の両腕が私の背中にまわる。

「色々と悪いな、A。明日は休みだから一緒にどこかに出掛けるか」

優しい声で呟く兄者さん。
そんな彼に私は微笑んで頷き、一緒にカップケーキを食べようと誘うのであった。

(兄)END.

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