先生と生徒の夏(兄)03 ページ24
ーーー
「失礼しまーす」
飲み物を買って準備室へ戻ると女子生徒の姿はなく、兄者先生しかいなかった。
「お、戻ってきたか。 …って、それ缶コーラじゃん」
私が戻ってきたのを確認した先生は、私の右手に持っている缶コーラに反応する。
「リンゴジュース買ったら当たったんです。 はい、先生にあげます」
「え、まじでいいの?」
「流石に2本は飲めないので貰ってください」
「おぉ…サンキューな。 んで、今日はどこを聞きたいんだい?」
先生は私から缶コーラを貰った後、いつもの調子で私に訊いてきたので、私は鞄からテキストを出して質問箇所のページを開く。
「今日は…この問題なんですけど──」
こうしていつものように私が質問をして先生が解説してくれる時間が流れていった。
「Aさん」
先生が解説してくれた内容をノートにまとめ終えて片付けをしていた私に先生は声をかける。
「はい」
「もしかして、さっきの気にしてた?」
「さっき?」
「ほら、さっきの1年生の。 俺があの子を教えてる時、Aさんムスッとした顔で見てたから」
「えっ、私そんな顔してました!?」
驚きの情報に、鞄の中にテキストをしまっていた私の手が思わず止まる。
「あぁ、してた。けど安心しろ。 前にも言ったが、俺は生徒を好きになることはないからな」
コーラを飲みながら先生は言う。
どうやら彼は私が嫉妬していたことに気付いていたみたいだ。
ーーー
240人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くろいつき | 作成日時:2020年4月15日 0時