先生と生徒の夏(兄)02 ページ23
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去年の春、入学して1年生だった私は当時担任だった兄者先生に一目惚れをした。
スタイルが良くて声も良い先生は、特に女子生徒に人気があり、そんな先生に少しでも近づきたくて準備室に通って質問しに行くようになった。
「Aさんは英語出来るのに、ほぼ毎日ここにきて質問しに来るなんてしっかりしてるね。 大変じゃない？」
準備室に来て質問しに来るのが当たり前になった頃に兄者先生からそんな言葉が降ってきたことがある。
「大変じゃないです。 だって私、先生のことが好きですから」
そして私は何を思ったのか、その時勢いで先生に告白をしてしまった。
私の告白に先生は少しびっくりした顔をした後、やれやれと言った顔をしてこう言われた。
「先生という立場上、生徒を恋愛対象にはできないんだわ。 悪ぃな」
「…じゃあ、生徒じゃなくなったら恋愛対象になる可能性があるってことですか？」
私は諦めずにそう返すと、先生はまたびっくりした顔をして今度はふはっ、と笑った。
「あぁ、確かに言われればそうだな。 だがそれまでにきっと俺よりも良いやつが現れると思うがな」
そう言われてこの話は終わり、私は一度失恋をした。
失恋をした私は、これ以上準備室に通うのはやめようかなと思ったこともあったが、結局先生に会うために準備室へ通い続け、先生も私に態度を変えることなく勉強を教えてくれた。
(先生は"生徒に教える"という当たり前のことをやってるだけ。 たまたまあの1年生をよく見かけてるだけで、自分が行かない時間帯には多分他の生徒も来てるはず…それに付き合ってもないのに嫉妬するとか──)
♪〜
「えっ、当たり？」
準備室の出来事に悶々としながら自販機でリンゴジュースを選ぶと、リンゴジュースが取り出し口へと落ちてくる。
それと同時に小銭を投入する所の左隣のパネルが動き出し、『222』とゾロ目が表示されて当たりを知らせる音が鳴る。
当たりが出たらもう一本もらえるシステムだ。
(えっ、何にしよう…あっ)
もう一本選ぶために自販機に並べられている商品を眺めると、左上の方にある"ある飲み物"に目が行き、なんの迷いもなくその飲み物のボタンを押した。
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作者名：くろいつき | 作成日時：2020年4月15日 0時
