緑の魔法使い(乙)11 ページ21
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あれから半年。
私の住んでいた街では異端者がいなくなった同日に街娘1人が行方不明になったことがわかり、異端者に攫われただの異端者と街娘はグルだったなど、一時期騒がれていたことを風の噂で知った。
また後日わかったことだが、大昔、魔法使いとそうでない人間で結ばれてはいけないしきたりがあったらしく、もし魔法使いとそうでない人間が口付けをした場合、魔法の使えない人間の瞳の色が変わってしまう"呪い"がかかるようになっていたらしいのだ。
今は大昔のようなしきたりはなくなったが、その名残で未だに瞳の色が変わる呪いは残っており、最近では生涯お互いを愛する覚悟が出来ている者たちのみ口付けをするようになっているらしい。
今まで1人森で過ごしてきたおついちさんは、呪いがあることを知らなかったようで、私の瞳の色が変わった原因がわかった当時、彼は私に対して申し訳なく思ったのか元気がない日が続いたこともあった。
もちろんその話を聞いた私は最初はびっくりしたが、次の瞬間にはそんなことはどうでも良くなっていた。
おついちさんと一緒にいれるなら、例えそれが魔法使いの"呪い"だとしても構わないと思ってしまうぐらいに。
「A」
名前を呼ばれ、振り返ればそこにはおついちさんがいた。
「そろそろ暗くなるから帰ろっか」
彼は優しく微笑み、こちらに手を差し伸べる。
「うん」
私は頷き、差し伸べられたおついちさんの手を取って、彼と一緒に森の奥深くへと消えていくのであった。
END.
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作者名:くろいつき | 作成日時:2020年4月15日 0時