緑の魔法使い(乙)09 ページ19
ーーー
「なるほど。 どうりで森が騒がしいと思っていたが…所謂"魔女狩り"か」
私の話を聞いた彼は、日が落ち始めて暗くなっていく森を見渡してから私の顔を見る。
「教えてくれてありがとう、Aちゃん。 でもこれ以上ここにいると危ないからキミはすぐに帰った方がいい」
「えっ、おついちさんはどうするんですか?」
「…僕はここを出ていく」
「出ていくって…そしたら私…もうおついちさんとは会えなくなるってこと?」
「…うん、そうなる」
「!」
もう会えない。
その言葉を聞いた私は心にぽっかりと穴が開くような感覚がした。
「…い、や」
「?」
「いやよ! おついちさんと会えなくなるなんて!」
私は声を上げた。
駄々をこねているのは自分でもわかっていたが、どうしても感情が抑えられなくなり、次々と言葉が出てくる。
「私、おついちさんと出会ってから毎日が凄く楽しかったんです。 一緒に紅茶を飲んだり、魔法の話を聞いたり…どんどんおついちさんのことを知る度にもっと知りたいって思えるようになって…私…私……あなたのこと…!?」
勢いに任せて気持ちをぶつけそうになったその時、突然私はおついちさんに抱き締められた。
「…僕もキミに会えなくなるのは嫌だよ。だって僕は…キミのことを好きになってしまったから。 本当ならこのまま連れて行きたいぐらいだ」
「!」
私は抱き締められたまま顔を見上げると、寂しそうな顔をしたおついちさんと目が合い、彼は見詰めながらそっと私の頬に片手を添えた。
「でも…だからこそ、キミを危険な目に遭わせたくない」
「おついちさん…」
ーーー
240人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くろいつき | 作成日時:2020年4月15日 0時