緑の魔法使い(乙)03 ページ13
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「は、離してっ…誰か！ 誰か助けて！」
「無駄だよ。 ここは街からかなり離れてるからね。 おじょーちゃんの声は誰にも届かないさ」
私は身じろいで男からの脱出を試みるが、男性の力に適うわけもなく、私を押し倒した男はそんな私の姿を見て気色悪い笑みを浮かべながら私を見下ろす。
どうにかして逃げなければ、と危険を感じた私はさっき手にしたバスケットの存在を思い出し、男の頭に向かってバスケットで思い切り殴った。
「っ！ …いってぇ！」
バスケットは男の頭に当たり、男は怯んだ。
私は男が怯んでる隙に男から離れ、そのまま無我夢中で森の中へと走り出した。
「おい、待て！」
少し離れたところで男の怒る声がして、私を追いかけようとしてくる。
私は今どこに向かっているのかなんて全然考えず、後ろから迫ってくる恐怖にただ必死になって逃げていた。
「うあっ！」
男との距離をある程度離すことができていたが、私は足がもつれて思いっきり転んでしまった。
「……痛っ」
男から離れるためにすぐに起き上がろうとしたが右足首に痛みが走る。
(どうしようこのままじゃ……っ！？)
そう思いながら私は痛みを堪えて起き上がろうとしたが、背中を押された感覚がしてまた地面に倒れ込んでしまった。
「へへへっ…捕まえたぞ」
倒れた私の頭上で男の声がする。
どうやら背中を押したのは近づいて来ていた男で、私を逃がさないように男は私の背中に乗って馬乗りの状態になっていた。
「やだ！ 離してっ！」
「さっきから威勢がいいおじょーちゃんだな…」
そう言うと男は身じろいでいる私の顔に"何か"を近づけてきた。
「！？」
私はその"何か"を視界に捉えた瞬間全身が強張る。
ナイフだ。
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作者名：くろいつき | 作成日時：2020年4月15日 0時
