緑の魔法使い(乙)02 ページ12
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森の奥へと歩き続けて数分。
今のところ危険そうな様子はなく、休憩していた時と同様に穏やかな時間が流れていく。
「全然大丈夫そう。 …わぁ！ この辺はたくさんあるのね」
歩き続けると、少し開けた場所にたどり着いた。
木陰ばかりの森の中でも唯一日差しが入り、日向ぼっこができるような空間だ。
そして空間の中心には太陽の光をいっぱい浴びているたくさんの花が咲いていて、小さな花畑ができていた。
「いっぱい摘んでいこう」
私は当初の目的である草花摘みのため、花畑の傍にしゃがみ込み、花を丁寧に摘んでいくことにした。
(他にもこういう所があるのかもしれないから、これからは森の奥を散策するのも悪くないかも)
そんな事を思いながら、花をバスケットの中へ入れていく作業に集中していると──
ガサガサッ
「！？」
突然背後の方、私が来た場所から音がした。
私は慌てて後ろを振り返ると、ガサガサと音を立てて近づいてくる影が見える。
(もしかして…異端者！？)
そう思った私はすぐに逃げられるように立ち上がって音のする方を警戒する。
「おーおー、怖がらないでおくれよ。 おじょーちゃん」
影が開けた場所まで近づくと、その正体が"茶髪の男性"だということがわかった。
「大丈夫だよ、俺は人間さ。 てか、こんな所に一人で来ちゃダメだよ？ 」
「あっ…す、すみません。 すぐに戻りますので…」
本来入っては行けない場所にいることが他の人にバレてしまっては仕方がない。
異端者ではなかったことに少し安堵しつつ、私は地面に置いたままのバスケットと詰みかけだった花を取るために一度男に背を向ける形でしゃがみ、バスケットを手にする。
「え？ 誰が戻れって言った？ これから俺と遊ぶんだよ」
「！」
突然後ろから肩を掴まれ、グイッと引っ張られたかと思ったら、次は両肩を掴まれて押し倒されてしまった。
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作者名：くろいつき | 作成日時：2020年4月15日 0時
