緑の魔法使い(乙)01 ページ11
※ファンタジー設定
※いつもより長めのお話
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"黒と茶の瞳と髪を持たざる者、呪術を扱う異端の者なり。 決してこの者に近づくべからず"
これはこの世界で古くから語り継がれている"言い伝え"。
私たちの世界は、黒か茶の瞳と髪を持つ普通の人間と、それら以外の瞳と髪の色を持ち、不思議な力を持つ"異端者"と呼ばれる人間がいるとされていた。
子供の頃にこの話を聞かされた私は、怖い人物を思い浮かべて眠れない日があったりしたけれど、大人になった今はただの御伽噺みたいなものだと思っていた。
そう、彼に会うまでは──。
「ふぅ…少し休憩しよ」
草花を摘むためにバスケットを持って森の中を散策していた私は、切り株の上に座って少し休憩をしていた。
木々のおかげで木陰ができ、程よい風が森の中を通る。
葉擦れの音がして、この空間は私にとってとても過ごしやすい場所だった。
「この後どうしよう…確かこの先は…」
私は森の奥へ視線を向ける。
これ以上先は言い伝えに出てくる"異端者"が住んでいると言われている敷地で、街の住人は進入禁止となっていた。
けれど、私は一度もその"異端者"には出会ったことがなく、また街の人が目撃したという情報も聞いたことがない。
「…少しだけ行ってみようかな」
もしこれが夜なら行かないが、今は真昼間。
森の中でも明るいため怖さはなく、寧ろこの先の未知なる場所に興味が湧いている自分がいた。
「危なそうなら引き返せばいいし…良いよね」
私は座っていた切り株から立ち上がり、"異端者"の住んでいると言われている森の奥へとゆっくり歩いて行った。
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作者名：くろいつき | 作成日時：2020年4月15日 0時
