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ぼーっとしてれば、手持ちの火は消えていた
少し離れたところでは、シャオロンさんが手持ち花火の光を使って文字を書いている
ＤＯＵＴＥ と書いたところでトントンさんが５本のロケット花火を彼に向けた
騒ぎながらシャオロンさんは楽しそうに笑っている
私が、好きな人
私を、好きだといってくれた人
私が、好きだったはずの人
「A？火消えてんで」
私が、好きかもしれない人
『チーノ』
「なんや」
『シャオロンさんって、大人だね』
「まあ、来年から社会人やし？」
『そっか、社会人か…なんか、遠いな』
「就職したら引っ越すらしいで」
『…もっと、遠くなるね』
毎日ここに来れば会えるからと、連絡先を交換もしなかった
明日が終われば、彼と会うこともなくなる
＿＿「楽しい夏やったわ、ありがとうな」
向けられた背中はずっと大人で
酸いも甘いも嚙み分けた、遠くて大きな影
「王道やけど、線香花火しようぜ！」
『わかりやすいね、チーノ…』
「雰囲気作りは大事やろ！」
隣の彼よりも背は低いはずなのにな
同時に火をつけたチーノと砂浜にしゃがみこんで、ぱちぱち音を立てる火玉を見つめた
オレンジ色の光は、こんな夜のチーノによく似てる
「言うで。」
『雰囲気ないよ、それ言うと』
「知らんわそんなん」
自分で言いだして無茶苦茶だな、と思いながら、隣の幼馴染に付き合うことにしよう
「Aとおったら楽しい。気が楽やし、面白い。
めっちゃアホやったり鈍感やったりするけど、こうもずっと一緒におったらもうそんなとこまで愛着湧くわ。」
『それ言う必要あった？』
「事実や。」
ククッと二人して笑った拍子に、火元が落ちた
聞こえないはずの、ぽとりという音が消えた後
「A」
『はい』
「好きやで」
『ありがと』
「返事は？」
『…ちょっと、考えさせて』
「ですよねー…って、え！？即フリちゃうの！？」
『もう、シャオロンさんのせいで、何が何だかわかんないんだよ…』
「え？さっき告白されたんちゃうん！？」
『されたけど、私の好きが好きじゃないかもしれないって…』
「え？なにそれ？難しすぎん？」
『難しい…恋って難しいよー！チーノー！』
「片想い６年拗らせた俺に言うなやー！」
満点の星空の下、悲痛な叫びが水平線に消える
光の波がさざめく下で、私たちはまた笑った
「これだけ、許して。」
一瞬チーノの顔が近づいて、頬に触れた柔らかい感触
そしてそこは、確かに熱を持った
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桜花(プロフ) - 急にコメントすみません。最初から最後までドキドキしっぱなしで、最後めっちゃ感動しました、、！！控えめに言って最高すぎる作品です、、、出会えてよかったです。最高に素晴らしい作品に出会わせてくれて本当にありがとうございました！！ (2020年10月12日 2時) (
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作者名：レック | 作成日時：2020年8月6日 12時
