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『なんですか…？』
元気さよりも期待とドキドキを表に出して寄ってくる彼女は、ほんまにズルいと思う
いつもはアホな女の子やのに、急に乙女になるから
真っ直ぐに好きを伝えてくるのに、変なところで遠慮するから
「聞きたいことあんねんけど」
『はい』
「好き？俺のこと」
『好きです。』
目をそらさずに、照れを隠しもせずに
堂々と言ってのけるから
「俺も好きやで。Aのこと。」
その瞬間、大きな瞳に膜がはる
目がうるんでいくのに比例して、頬は紅潮していって
ぱくぱくと空気を食べる口が、何か言葉を紡いでしまう前に、俺は彼女に言わなければならない
「でも、Aは俺のこと好きちゃうねん」
『…は、ぇ？』
ほんま、なんで俺はこんなことを彼女に言わなあかんねやろ
幸せを願って手を離す役割は、あの幼馴染で十分なはずやねんけど
「Aは俺が初恋やって、言ったやろ？
期待を持ってこの海にやってきて、初めて声をかけた俺に惚れた。
これって、出来すぎやと思わへん？」
ぶんぶんと首を横に振るA
薄い涙の膜は未だに膨らんでいるが、頬の赤みは引いていた
「今まで恋愛したことなかったAは、
たまたま声かけてきた男に、憧れを重ねてもうただけやねん。
お前は、恋に恋してるだけやねん。」
お前の純情をぐらつかせた男が、あの幼馴染じゃなかったのが不運だった
お前の気持ちを利用して、自分の気持ちを隠したまま、初めてを奪ってしまうような男に出会ってしまったから
罪滅ぼしではないけど、きっとここでお互い想いあっていると勘違いするよりはマシやから
後から気付いて一番傷つくのは、Aやから
「酷い女やなぁ、俺に失恋させるなんて」
だから俺は、お前のことを手放そうと思う
きっと素直には引いてくれへんけど
『ち、ちがいます、私は、シャオロンさんがほんとに、好きで…！』
その気持ちを本物だと思っているほど、俺の言ってることは残酷だろう
まあでも俺は所詮、この夏だけの関係やから
どれだけ嫌われたって、後に尾を引くことはない
「初恋やのに、なんでそれが本物やって言い切れるん？
…誰かの好きと、比べでもした？」
『っ！』
そりゃそうやろ
横にあんなおあつらえ向きの幼馴染がおって
告白までされそうになれば、自分の中の気持ちにも気付くだろう
彼女が選んだのが、憧れという煌めきのかかった俺との“恋”への気持ちだったというだけだ
「楽しい夏やったわ、ありがとうな」
ちゃんと、幸せになる方を選べよ
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桜花(プロフ) - 急にコメントすみません。最初から最後までドキドキしっぱなしで、最後めっちゃ感動しました、、！！控えめに言って最高すぎる作品です、、、出会えてよかったです。最高に素晴らしい作品に出会わせてくれて本当にありがとうございました！！ (2020年10月12日 2時) (
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作者名：レック | 作成日時：2020年8月6日 12時
