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『ごめん、チーノ、』
「なに謝ってるん？」
『その、怒った…？よね』
「怒ってへんで？」
『ごめん、ごめんね、あの、』
凍ったままの笑顔はアイスよりも冷たい
ゆっくり、距離を狭めてくるチーノの影がどんどん大きくなって
「…俺が可哀想で、謝ってんの？惨めで、哀れやから？」
『何言って、』
「ええって、そういうの。」
もう、ピエロ役には飽き飽きしてんねん。
並んだ二人分の布団に押し倒される
両腕を顔の横に押さえつけられて、それと同時に鎖骨に鋭い痛みが走った
ぼたりと、溶けかけのアイスが落ちる
『いっ！チーノ！痛い！』
「Aが悪いんやで？」
噛み付いた後を舐めて、そのままどんどんチーノの顔は下がっていく
今何をされそうになっているかここでようやく理解した
『待って、やめてチーノ、お願い、』
舌は止まることなく、体の上を這い続ける
ずっと一緒にいて、初めて、この男が怖いと思った
心の底から、嫌悪感を抱いた
誰、このひと、
短パンに手をかけようと、腕の拘束が離れた瞬間
パシン！
乾いた打音が、静かな夜に響く
『最、低…』
チーノは動かなかった
ぶたれた衝撃で向いた蚊帳の外を、ずっと見ている
乱れた前髪でそのオレンジは見えなかったが、今は見たくもない
私の自慢の幼馴染を、汚されたくない
彼は、そんな人じゃないのに
震えた声で、『もうやだ、』そう残して
私はこの檻から出た
襖を開けて、玄関で靴を拾って、空いていた部屋から外へ
明日の朝、私がいなかったらおばあちゃんはどう思うだろう
でも今は、一歩でもいいから、あの布団から離れたい
そこで座り込む、彼の呟きなんて聞かないで
私はただ、夜中の道を走った
人も車も通らない田舎道で私の泣き声を聞いたのは、道脇で合唱するカエルぐらいじゃないだろうか
街頭が多くなって、２４時間営業のコンビニのすぐそば
走ってきた勢いは、見覚えのある扉にぶつかって跳ね返された
何度も指を伸ばしては下ろし、数歩離れて、また指を伸ばす
８回、それを繰り返したあと
ピンポーン
底抜けた鈴みたいに、軽い音が一度
「はい？…って、どうしたん、」
A。
彼の口から、名前を上書きされた途端
『あ…』
「ちょ、まじでどうしたん！」
砂だらけの足から力が抜ける
咄嗟に助けてくれたシャオロンさんの腕の中におさまった
待ち望んだ場所は、陽だまりの中にいるみたいに温かい
でも、彼に抱きしめられていても、胸の奥の空虚な穴は寂しいままだった
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桜花(プロフ) - 急にコメントすみません。最初から最後までドキドキしっぱなしで、最後めっちゃ感動しました、、！！控えめに言って最高すぎる作品です、、、出会えてよかったです。最高に素晴らしい作品に出会わせてくれて本当にありがとうございました！！ (2020年10月12日 2時) (
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作者名：レック | 作成日時：2020年8月6日 12時
