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『チーノきいて！』
バイト終わりの帰り道、興奮気味に話し始めれば呆れたように笑うオレンジ
「はいはいどうぞ」
『シャオロンさんが、Aって呼んでくれた！』
「俺もずっと呼んでるやん、Aって」
『シャオロンさんはずっとAちゃん、だったから、ちょっと、期待できそうじゃない！？』
「それは俺に期待してるってこと？やだAちゃん大胆」
『なに言ってんのチーノ』
「急に当たり強なるやん」
『……』
「…おめでと。」
『ありがとう！！』
「現金やな〜お前」
ちらちら陽光をレンズに反射させながら、夕蝉鳴き散る街路樹を見るチーノ
口は笑っているけど、さっきから目は合わせない
『…なんか怒ってる？』
「え、全然？」
『そう…？』
「名前呼び捨てにされるだけでそんなきゃっきゃ騒ぐって、めでたい頭してんなーと思ってな。」
『好きな人いないチーノにはわかんないでしょーよ！』
そっぽを向いて数秒
すぐに「ごめんや〜ん」って謝ってくると思ったのに、いつまでたっても声がかからない
不思議に思って振り向けば、眩しそうに目を細める幼馴染がいた
じわじわ色が移り行く夕刻の空を、ただ黙って眺めている
『チーノ、やっぱりなんか怒ってる…？』
「だからなんなんそれ、怒ってへんて」
『だって、なんか変だし』
「ええ男が物思いに耽ってたら、画になるやろ？」
『なにそれ』
「別に。お日さんに、Aが綺麗に失恋するかシャオさんと上手いこといくように、願掛けしといたったで」
『普通流れ星とかじゃない？』
なにも、沈んでく太陽に願うこともないのに
「ええんや、俺はこれが限界やねん。」
『ふーん…？』
チーノの横顔は、夏夕の橙を瞳の中に混ぜ込んで
その儚さを吸収したみたいに綺麗だった
でも次まばたきをしたときには、いつものオレンジで笑っている
「そういやA、せっかくこっち来たんやから、田舎の夏らしいことやってみいひん？」
『田舎の夏らしいこと…？縁側ですいかとか？』
「ちゃうちゃう、このへんにはな、夏の夜にぴったりの山道があるんや」
『山道？』
「夏、夜、ときたらやっぱ、肝試しやろ！」
『えーーーー！！はんたーい！！！』
「なんで？」
『怖いのだめなの知ってるでしょ！』
「知っとるけど、別に暗い山道歩くだけやで。なんか出るとかでもないし」
『暗い山道って危ないじゃん！』
「ドキドキハラハラでええやん」
『よくない！』
「…吊り橋効果って、知らんのか？」
シャオさんと、行きたくない？
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桜花(プロフ) - 急にコメントすみません。最初から最後までドキドキしっぱなしで、最後めっちゃ感動しました、、！！控えめに言って最高すぎる作品です、、、出会えてよかったです。最高に素晴らしい作品に出会わせてくれて本当にありがとうございました！！ (2020年10月12日 2時) (
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作者名：レック | 作成日時：2020年8月6日 12時
