狂愛方程式

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｢なんやねんお前ら！無理やり食わせやがって！俺をいじめんのがそんな楽しいか！！！｣
｢｢｢｢お前が言うな！！！！！｣｣｣｣

というやり取りでゾムゾム大感謝祭は幕を閉じた
最終的には超人的な身体能力で迫り来るトマトから逃げるゾムと、執念でトマト片手に追いかけ回す食害被害者の会という地獄絵図

グルさんがAを医務室に連れてったと聞いて安心した。あの時のAはなかなか危なかったと思う

｢A、なんであんな機嫌悪かったんやろ｣

今朝、ほとんど何も食べず食堂を出ていったA
昨日の夜の分でまだお腹いっぱいなんやろか

まあなんであれ、早く回復してもらわんと困る
ベディノンのハッキングがまだ途中やし、その技術が更に進歩するんが楽しみやったりする
あんまやりすぎて欲しくはないけど




｢…なんでおんねん｣

セキュリティルームの扉を開けて、ため息を吐いた
居てはならないはずの彼女が、席に座り手を動かしている

｢おいA、まだ仕事禁止やで｣
『……』

見向きもしない彼女、今朝から機嫌が悪いんは知ってたけど、無視すんのは酷くない？

｢ええ加減にせなグルさんらにチクん、で…｣

違う、わざと無視してるんやない
聞こえてないんや
瞬きを忘れた眼球は充血し、酸素を求める口は半開きになっている
今まで見たどの瞬間よりも、ゲームにのめり込むその姿。狂気と言わず何と表せばいいのか

彼女の目を自分の手の平で覆った
そうしてやっと、動きが止まり俺の存在に気付いてもらえる

『ロボロさん…』
｢何してんの。ここ来たあかんやん｣
『…我慢、できなくて。怪我も治ってきましたし』
｢そんなこと言うても、総統命令やで｣

手を退けて、顔を合わせる
すると彼女の瞳には涙が浮かんでいた
それが乾燥した目を潤す生理的なものだとわかっていても、涙目で懇願するような声音はズルい

『ハッキングしてないと、落ち着かないんです…こんなの、初めてで…お願いします…』
｢でもなぁ｣

こんな弱気なAを見るのは初めてだ

『それに、見てください！』
｢なんやこれ…ウイルス！？｣
『今ウイルス攻撃受けてるんです！ロボロさん1人だと、さばくの大変でしょ？』

表示されているのは大量のウイルスエラー
一つ一つは大したことないけど、全部やるとなると完全に通常の仕事が滞る

後でグルッペンらに怒られるんやろなぁ…

深く息を吐きつつ了承の返事をすると、Aはまた嬉嬉として画面と向かい合った

まるで、中毒者のように

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