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誰かに手を引かれた
花の香りに混じるのは煙草の苦い匂い
その手は私を引っ張りあげて、光の世界へ連れ出した
眩しい
久しぶりに空気に触れて瞳孔が戸惑っているかのように焦点が合わない
瞼を瞬かせながらじっとしていると、白いモヤからだんだん天井が見えてきた
少し見慣れてしまった白天井
医療室なら、ペ神さんがいるだろうか
｢…っぁ、｣
呼ぼうとして驚いた、声が出ない
喉の奥がくっついてしまったように乾いていた
自分の腕を見ると、ベットの横から点滴に繋がれている。きっともう、私には必要ない。そんな気がして、針を抜いた。
ぺたり、脚をベットから下ろすと、石畳がひんやり冷たい。立ち上がると酷い目眩がした。随分体が重く、壁伝いでないと歩けない。足の裏が擦れて血が滲むのも気にせず、私はずるずると廊下を歩いていった
この場所は、時々夜に訪れては1人で景色を眺めていた。少し煙草の匂いが残っているのは気のせいだろうか。
いつもと違うところはもうひとつ
夕日が沈む反対側に太陽がいる
まだうっすらとだけ明るい空、きっと今は明け方なんだろう
そのままずっと朝日が昇るのを見ていた
テラスの縁に腰掛けて、奇跡みたいに綺麗な光景
息を吸うと空気が冷たくて鼻が痛む。これが生きてるってことなんだろうな
太陽がだんだん大きくなってきた
鳥がさえずり、離れた城下町から朝の生活音が奏でられる。きっと下の階では使用人の人達が起き出していて、今日も1日働くための気合いを入れているのだ。
たくさんの日常
ひとりひとりが力強く輝かせている命の灯火
その全てを合わせたように燃える太陽
にっこり笑った
新鮮な朝の空気を、今度は胸いっぱいに吸い込む
きっと私が消えても、この世界の輝きは変わらず美しいまま
背中に体重を傾けた
倒れていく姿勢
足が地面から離れる感覚
縁の外側には空気しかなくて、朝日と共に身を投げ出す
ありがとう、なのか、ごめんなさい、なのか
最後に皆さんに言葉を伝えるなら、どちらを選ぶだろう
きっとその答えがでないうちに地面とぶつかって私は消えてしまうけれど
｢そんな勝手なこと、許さへんで｣
＿＿今度は、絶対死なせへん
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まち(プロフ) - 初めまして、1話したのかと目から読ませていただき、完結までお疲れ様でした。とても素敵な作品に出逢えたこと、心から嬉しく思います。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月30日 3時) (
レス) id: 9b1209b0b8 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - こんにちは！あまりの面白さに思わず一気読みしてしまうほどでした!!!!!!!こんなに幸せで素敵なお話を読めてとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: c0349a147b (このIDを非表示/違反報告)
カラ - とても面白かったです。久しぶりに夢中になって読みました。素敵な作品をありがとうございます！ (2020年2月5日 20時) (レス) id: 4407d2bed4 (このIDを非表示/違反報告)
1 - あれ？HappyENDって、こんなに泣けるもんだったっけ？ って、半泣きで最後まで読ませて頂きました。とても良い作品でした。 (2020年1月11日 17時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
レック(プロフ) - すみれいんさん» 度々感想の方お聞かせ頂きありがとうございます！何度も楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです。先の展開を知らないと気付かない伏線もたくさんはっておりますので、是非また、新しい笑顔をお見せいただけたらなぁと思います。 (2020年1月9日 9時) (レス) id: a402dc079e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レック | 作成日時：2019年9月13日 0時
