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｢あと3週間もあれば首都まで落ちるだろう｣
｢いや多分、1週間以内でも降伏勧告出せば呑むと思うんですけど…｣
｢グルさんはそんな甘ない男やって、トントンが1番わかっとるんちゃうん｣
｢最後までやりたい気持ちはわかるねんけどなぁ｣
｢いやぁ〜電撃戦は1ヶ月以内に限る｣
｢これあれ？首都まで直進せんと包囲戦滅しとったやんけって突っ込んだ方がいいやつ？｣
｢１回オスマンに口で負かされたええねん…｣
軽い口調で城への道を進む
それぞれが煤や血、土に塗れた軍服で歩調を合わせるこの空気は俺に昔を思い出させた
昔も突っ込んでは塹壕の中でトントンにどつかれ、オスマンが血路を切り開く。コネシマ達が到着すれば勝利は待ったなしでやって来て、今より小さかった城に帰れば大量の書類が待っていた。…いや、これは今も同じだが。
人が増えて使える戦術も国の政務も増せば自然と戦線からは遠くなったが、それもそれで悪くは無い
ただ、守りたいものが増えすぎたのかもしれない
｢グルさん｣
城の前で足を止めた
目の前にそびえるそれは、俺たちの力と責任の大きさを象徴するかのように威厳を備えて建っている
｢あんた、ようやったで｣
｢うん、ちょっと心配しとったけど｣
｢…なんのことだ｣
｢よう“いつも通り”やったな｣
｢あんたはやっぱ、総統に相応しい｣
こいつら相手に隠し事は通用しないらしい
気負いも杞憂も、戦場で出すわけにいかない
指揮官の不安は兵士に伝染し、動きを鈍らせる
俺たちはまだ、ここで折れるわけにはいかないのだ
｢当然だろう。他に誰がいる｣
また笑いながら、城門をくぐった
｢じゃあ俺、ショッピ君から引き継ぎしてくるから｣
｢とりあえず隣国の報告聞いてくるめう｣
城内に入ると当たり前のように俺から離れていく2人
本当にどこまでも、人を読みやがる
｢ああ、俺はAを見てくる｣
｢勝手に行ってどうぞ｣
｢30分後に行くめう｣
｢ただいま、A｣
ベッドで弱い呼吸を繰り返すAは返事をしなかった
その姿を見るとまた、自信を弱らせる何かに出会う
｢軍事食はどうも甘味が少なくていかんな。お前のクッキーを持って行かなかったのを後悔したぞ｣
もし目覚めていたら、彼女は何と返しただろう
聞きたい言葉も言いたい思いも、数えるのをやめるほどには積もっているのに。
どうしてか、眠るお前の前では何も出ては来やしない。
俺は2人がやってくる丁度30分後まで、Aの綺麗な手を戦場で汚れた手で握っていた
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まち(プロフ) - 初めまして、1話したのかと目から読ませていただき、完結までお疲れ様でした。とても素敵な作品に出逢えたこと、心から嬉しく思います。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月30日 3時) (
レス) id: 9b1209b0b8 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - こんにちは！あまりの面白さに思わず一気読みしてしまうほどでした!!!!!!!こんなに幸せで素敵なお話を読めてとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: c0349a147b (このIDを非表示/違反報告)
カラ - とても面白かったです。久しぶりに夢中になって読みました。素敵な作品をありがとうございます！ (2020年2月5日 20時) (レス) id: 4407d2bed4 (このIDを非表示/違反報告)
1 - あれ？HappyENDって、こんなに泣けるもんだったっけ？ って、半泣きで最後まで読ませて頂きました。とても良い作品でした。 (2020年1月11日 17時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
レック(プロフ) - すみれいんさん» 度々感想の方お聞かせ頂きありがとうございます！何度も楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです。先の展開を知らないと気付かない伏線もたくさんはっておりますので、是非また、新しい笑顔をお見せいただけたらなぁと思います。 (2020年1月9日 9時) (レス) id: a402dc079e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レック | 作成日時：2019年9月13日 0時
