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グルさんらが出発した後、夕飯まで時間があると思い書記長室へ戻った。
次の戦争に備えての指令書に目を通す。…今回は、俺も我儘を言って、ちょっとだけ前線に出る。司令官ではなく、戦闘員として。それがどれほど馬鹿なことかはわかってるつもりだが、残念ながら待っていられるほど俺の器は大きくなかったらしい。
先日グルさんに相談に行くと快諾された。嫌な予感がして尋ねると、案の定自分も前線に立つつもりだと言う。それこそアホな事せんといて欲しいと言っても、言い出したワガママ総統が聞くはずもなく。
今回はエミさんもロボロもオスマンも出て、大先生も復帰するらしい。いやほんまに誰が指揮とって城守んねん。自分と総統の身を按じるのが馬鹿馬鹿しくなってきた。俺もグルさんも、他のやつも、最初は腕1本で成り上がった戦争狂だ。あっさり死ぬことは無いやろ。
個人的な理由で戦闘に出るとなると部下には迷惑をかける。その分入念に指令書のチェックをしていたのだが…
｢とーんちっ！｣
｢うぉっ！びっ…くりしたぁ。ノックせんやつは死んでどうぞ｣
｢ええ、ひど。僕ノックしたで？返事ないから入ってんもん｣
｢え、嘘。気付かんかったわすまん。で何の用？｣
｢頼まれてた近隣国の相関図、できたよ〜｣
｢大先生が催促する前に書類持ってくるとか、明日雪やん…！！｣
｢やめてよ、開戦前に｣
明日の取引も、迫った開戦も関係なくコイツはいつも通り笑っている。書類を出して帰るのかと思いきや、そのままソファに腰掛けた。
｢なんや大先生。まだなんかあるんか｣
｢とんちさぁー｣
頭を背もたれに投げ出して、天井を見ながら呟く大先生
眼鏡を外して視界を自身の腕で真っ暗にすると、疲労の滲んだ声で聞いてきた
｢後悔してへん？Aちゃんを、幹部にしたこと｣
｢……なんで？｣
｢僕はな、してんねん。あの時もっと止めとけばよかったって。｣
俺にはあれしか方法がわからんかった。ずっとそばにいて守るとか言えたらカッコイイんやろうけど、生憎時間も実力も足らん。
｢なぁ、トントン｣
こちらを見ずに、相変わらず脱力したように俺を呼ぶ大先生の声はさっきより少し低い
それは彼の苦悩を表しているようで
｢俺らなんで、あんな優しい女の子に、人殺す方法教えてんの？｣
答えられない俺を一瞥すると、｢ごめん、疲れてるみたいやわ｣とまたいつも通りヘラっと笑って出ていった
彼女を守るために、彼女の手を汚す
それは正しい事だったのだろうか
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まち(プロフ) - 初めまして、1話したのかと目から読ませていただき、完結までお疲れ様でした。とても素敵な作品に出逢えたこと、心から嬉しく思います。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月30日 3時) (
レス) id: 9b1209b0b8 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - こんにちは！あまりの面白さに思わず一気読みしてしまうほどでした!!!!!!!こんなに幸せで素敵なお話を読めてとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: c0349a147b (このIDを非表示/違反報告)
カラ - とても面白かったです。久しぶりに夢中になって読みました。素敵な作品をありがとうございます！ (2020年2月5日 20時) (レス) id: 4407d2bed4 (このIDを非表示/違反報告)
1 - あれ？HappyENDって、こんなに泣けるもんだったっけ？ って、半泣きで最後まで読ませて頂きました。とても良い作品でした。 (2020年1月11日 17時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
レック(プロフ) - すみれいんさん» 度々感想の方お聞かせ頂きありがとうございます！何度も楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです。先の展開を知らないと気付かない伏線もたくさんはっておりますので、是非また、新しい笑顔をお見せいただけたらなぁと思います。 (2020年1月9日 9時) (レス) id: a402dc079e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レック | 作成日時：2019年9月13日 0時
