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『偵察ですか？』
｢そうやねん〜。結構時間かかりそうでさぁ。もうほんま行きたない｣
グルッペン様に虐められたような救われたような日から17日、ゾムさんは今日もキッチンのダクトから現れた。今は作業台の横に座って私がケーキを盛り付けるところを見ながら話している。今日のお茶会にはコネシマさんと大先生も来るみたいで、きっと賑やかなものになることは予想出来た。
｢なあなあ、俺にもなんか作ってーや｣
『今ですか？』
｢晩飯のデザート。他のやつ無しで。｣
『ええ…いいですけど、皆さんで食べた方が美味しくないですか？』
｢俺だけのために作って欲しいねん｣
そう頼むゾムさんはいつものようにからかう笑顔ではなく、少し寂しそうに首を竦めていて
『…わかりました。とっておきのを作るので、楽しみにしててくださいね！』
｢おん…！待っとるで！｣
案の定、お茶会は大変騒がしく途中でトントンさんが怒鳴りこんで来る事態になった
今日は新しいメイドさんの最後の一人がやって来る日でその手続きに忙しいと言っていたからもう少し静かにするべきだった。騒いだのは私じゃないんだけど。
そしていつも通り騒がしい夕飯のあと、ゾムさんを探しても食堂にいない。さっきまで食べてたのに。
皆さんに聞いても知らないと言うので部屋に行ってみると簡素なメモが置いてあった
そのメモに従って、デザートを持ちテラスに向かう
私が半年以上いても変わらないお気に入りの場所に、彼は月光を纏って佇んでいた
『ゾムさん』
｢Aよおここ来てるよなぁ。気持ちええな｣
『見てたんですか？』
｢いっつも城壁の上からな。あそこも気持ちええで？｣
『私は遠慮しておきます。』
手すりに腰掛ける彼に、お望みの物を
『シャインマスカットのタルトです』
｢綺麗な見た目やなぁ…これがAのとっておき？」
『はい、“ゾムさん用の”とっておきです』
｢なんやそれ｣
言葉とは裏腹に声色は優しい
そして彼の瞳に似た輝きを持つ果実は、口の中に消えていった
｢うまかったぁ〜。ごちそーさん｣
『喜んで頂けて何よりです』
流れる穏やかな時間
その中心でゾムさんは静かに私を見つめていた
『どうかしましたか…？』
｢いや……、なんもない｣
目を逸らしたゾムさんは私に背を向ける
手すりの外側に脚を出すとニヤリと白い歯をみせた
｢んなら、いってくるわ！｣
『えっ？』
テラスから飛び降りる1つの影
慌ててその背中に『いってらっしゃい！』の声をかけた
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フェルト - 伏線回収が神！うらつくで稀に見るほんとうの鬼才のお方ですね！最高です！ (2019年9月14日 10時) (
レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
RaZu@らず(プロフ) - 伏線回収が…！ありがとうございます、わかりやすいです…これからも更新楽しみに待っております！ (2019年9月6日 19時) (レス) id: a4ef94e121 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの子(プロフ) - 前作からの伏線がどんどん回収されてくのドキドキします…これからも更新楽しみにしております。 (2019年8月31日 7時) (レス) id: 54ffec1f7f (このIDを非表示/違反報告)
RaZu@らず(プロフ) - 嫉妬する総統さまが…!!!最高です……!!!!!!ありがとうございます…!!!!!!!!!!!! (2019年8月27日 15時) (レス) id: a4ef94e121 (このIDを非表示/違反報告)
琉兎(プロフ) - 主ちゃん可愛すぎっ！惚れてまう！！続きが気になるんじゃぁ！！！更新頑張って下さい、楽しみにしてます！！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 3584f7d8aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レック | 作成日時：2019年8月18日 3時
