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不意に呼ばれた名前に反応して顔を上げると、黄緑と赤の瞳がこちらを見据えていた
『私は、お2人の所有物になったつもりはないんですが…』
｢……なぁ、なんで目逸らすん？｣
こちらに近付いたゾムさんはその指で私の顎を掴み自分の方に向けた
長い前髪の奥の瞳はまっすぐに私を捕らえる
｢昨日終わったあとから全然見てくれんやん。なんでなん｣
『……』
｢俺のこと嫌いなった？｣
『そ！そんなことないです！』
さっきまでゾムさんと言い合っていたグルッペン様も今は何も言わず成り行きを見ている
これは、正直に言わないとバレるんだろうな
『その、ゾムさんたちに申し訳なくて…』
｢ん？｣
『昨日、教えてもらったこととか、全然出来なくて、結局負けてしまって、折角時間を割いて教えてもらってたのに…』
そこまで言うと唇を噛む
悔しさと申し訳なさで、涙が再び瞳を覆った
ゾムさんは何も言わず指で頬を拭うと、噛み締めた唇を優しく撫でる
ゾクゾクと背筋を波が這い思わず口を開けた
｢俺らが負けたらそれはそれで問題やねんけど、｣
言葉を続けようとするも、言いかけて黙ってしまったゾムさん
その視線は首元に注がれている
｢あー、あかんわ。今日のAは話すより先に襲ってまいそうや｣
『えっ？』
｢…グルッペン、コイツお前の猫なんやろ？ちゃんと面倒見ろや。盗ってまうぞ｣
｢…ああ。そうだな｣
それだけ言うとゾムさんは部屋を出て行ってしまった
再び2人きりになってしまったが、空気の重さが違う
｢…A｣
『は、はいっ！』
｢自室へ戻ることを許可する。いつも通り甘味を作ってきてくれ。｣
『わかりました、何かご希望はありますか？』
｢なんでもいい、Aに任せる｣
グルッペン様がリクエストしないのは珍しい
いつも彼は自分の欲求に真っ直ぐだ。いい意味でも悪い意味でも
部屋のキッチンで調理を開始したけど、驚くべきはこの頭のおかしい格好の機能性だ
腕は捲りやすいように型がついていて、捲った時丁度いい位置にカフスが止まるようになっている。エプロンをしても肩からずり落ちないように小さな溝ができていて、正装でも充分に機能性を兼ね備えた設計が腹立たしい。なんでこんな人前で着にくいデザインなの…？
でも私の仕事を考えて作られたという点で、くすぐったい嬉しさがこみ上げる
やはり誰かの喜ぶ顔を思い浮かべながらのお菓子作りは、幸せをもたらしてくれるのだった
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フェルト - 伏線回収が神！うらつくで稀に見るほんとうの鬼才のお方ですね！最高です！ (2019年9月14日 10時) (
レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
RaZu@らず(プロフ) - 伏線回収が…！ありがとうございます、わかりやすいです…これからも更新楽しみに待っております！ (2019年9月6日 19時) (レス) id: a4ef94e121 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの子(プロフ) - 前作からの伏線がどんどん回収されてくのドキドキします…これからも更新楽しみにしております。 (2019年8月31日 7時) (レス) id: 54ffec1f7f (このIDを非表示/違反報告)
RaZu@らず(プロフ) - 嫉妬する総統さまが…!!!最高です……!!!!!!ありがとうございます…!!!!!!!!!!!! (2019年8月27日 15時) (レス) id: a4ef94e121 (このIDを非表示/違反報告)
琉兎(プロフ) - 主ちゃん可愛すぎっ！惚れてまう！！続きが気になるんじゃぁ！！！更新頑張って下さい、楽しみにしてます！！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 3584f7d8aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レック | 作成日時：2019年8月18日 3時
