西侍の短編集【Part2】 (ページ25)

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Courage 赤×緑ページ25

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「好きやで、神ちゃん」

そう、ふわりと神ちゃんの頭に添えられた俺の手は、
数秒そこに留まってから空を切った。

今は観覧車のてっぺん。

神ちゃんに曖昧な返事をされたくなくて、逃げられないようこの密室に閉じ込めたようなもん。

「いやあの、そう言う意味にしか聞こえへんねんけど…」

「そういう意味」

元々大きい目をさらにおっきくして戸惑った後、
あ、やっぱり？そう苦笑いして顔を下げた神ちゃん。

失敗かなぁ、告白大作戦って。

「……ごめん、あの、嫌いとかじゃなくて、シンプルに今はそういうの考えられへんねん」

「………」

あぁ、観覧車になんかにするんじゃなかった。

後悔するの早いなぁ。

お互いがお互いの息を読み合うこんな空気になったの、はじめてやもん。

「………こりゃ今日は超満月やな」

気まずいのは神ちゃんも一緒で、まだ少し青い空を指して
そんな当たり前のことを呟いていた。

今、話を続けられるわけないのにさ。

月が綺麗とは、言わへんのやな。
俺の考えすぎかもしれへんけど、神ちゃんはそういう男。

距離、できてもうた。

「気持ち悪い？」

「…そんなこと、」

ない、って、言ってや。