西侍の短編集【Part2】 (ページ23)

今日:12 hit、昨日:22 hit、合計:57,484 hit

• ページ23

.

「ただいまー」

「あ、お帰り大毅！！」

俺が仕事から帰ると、まだ神ちゃんが大学生やった頃と変わらず笑顔で出迎えてくれる。

「今日は鍋！！ニラたくさん入れたで！」

「えー、神ちゃんのおめでたい日なんやから、好きなもん食えばええのに」

「俺にはスイーツがあるから！」

呼び方がスッと大毅に変わって、敬語も取れる。

5歳差って、どこに行っても先輩後輩として関わるなんてことがなかったから、俺らからしたらこれが普通で。

可愛いなー、ええ嫁やなーなんて思いながらスーツをハンガーに引っ掛けた。

「大毅、毎日ああいうところで働いてんねやな〜」

「せやで、神ちゃんも今は楽しいかもやけどな、
どんどん苦痛になってくるから気ぃつけや」

「え〜それ先言わんとってよ〜！」

ビールの缶を２つ開けて、１つを神ちゃんに渡す。
ありがとぉ、なんて言って笑うから、これは絶対俺の仕事。

ビール開けるだけで神ちゃんの笑顔見れるなんて、最高やろ？

「大毅、忙しそうやったね」

「あーな、後輩のケツ拭いまくってんねん、押し付けられ係やねん」

さっきから愚痴の止まらない俺の話を、
うんうんと相槌を打ちながら聞いてくれる優しい神ちゃん。

こんな話、ほんまは嫌やろうに。なんてええ子なんやろう。

「じゃあ俺はお仕事頑張って、大毅にとっての天使みたいなんになろかな〜」

「おってくれるだけで充分癒されんで」