ことばのチカラ ２【完】

35 ページ35

.



最近の慎太郎くんは毎日のようにテレビに出ていてとっても忙しそう。



会いたい、なんて言われるけどお休みなら休んでほしいなと思うのがヲタクのサガってやつで。





カップルでもないのに会う会わないで軽く言い合いをしてしまった。




その日は日付が変わるか変わらないかくらいの時間に慎太郎くんから電話が来た。







「もしもーし、起きてた？」



『うん、今日バイトでさっきお風呂から上がったところ。』



「あ、そうなんだ。お疲れ様、俺もさっき仕事終わって今家着いたとこ。」



『遅くまで大変だね、お疲れ様。』



「ありがと。でさぁ、明日夜までオフなんだけど今から会えない？迎えに行くし、明日土曜日だしAちゃん学校休みじゃん？夕方からバイト入ってんならその時間まででいいからさ。」



『でも久しぶりの休みなのに…、私に会ってたら休まらなくない？』



「なんで？(笑) Aちゃんに会えない方が休まらない。」



『…でも、』



「Aちゃんは会いたくないの？俺に。」



『その言い方はずるい。会いたいけど慎太郎くんお仕事で疲れてるかなと思って…、』



「だったらごちゃごちゃ考えずに会いたいで良いじゃん。」








語尾が強くなる慎太郎くんに何も言えなくなる。
ほら、ちょっと思い通りにならないだけでイライラしてるじゃん…、疲れてる証拠だよ。








『………忙しそうな間は会うのはやめておきます。ゆっくり休んでください、おやすみなさい。』


「え、ちょっ、まっ、」






慎太郎くんが何か言いかけてたけど、電話を切った。


そのあと何回か電話がかかってきてたけど出る勇気もかけ直す勇気もなくて電源をOFFにしてベッドに寝転がる。






『………私だって、会いたいもん…、』



.

36→←34

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す